ネットワンシステムズは、auカブコム証券の独自アーキテクチャによる新ネットワーク基盤を構築したことを、6月29日に発表した。
同基盤では、独自の設計概念「サイト・面・エリア」を導入。オンプレミスとクラウドを横断して、シンプルかつセキュアな運用を可能にしている。
新ネットワーク基盤では、システムの用途別に4種類の「面」(顧客向けサービス、社内システム、開発環境、運用管理システム)を定義。各「面」の間でネットワークを分離することによって、顧客向けサービスや社内システムで取り扱う機密情報のセキュリティを強化する。また、障害時におけるシステム間の影響を限定的にすることで、顧客向けサービスの可用性を向上した。
各「面」は、場所の区分である3種類の「サイト」(メインデータセンター、BCPデータセンター、クラウド)を横断して接続されている。そのため、稼働させるアプリケーションの性質に応じて、オンプレミス・クラウドから最適なインフラを選べる。また、設計を標準化・シンプル化したことによって、ルーティングを最小限にしている。システム変更時や障害時の影響範囲を明確にして、ネットワーク設計・運用の負荷を軽減し、システムの展開・変更スピードを向上した。
さらに、各「面」の中に機器構成をパターン化した「エリア」(サーバ収容エリア、回線収容エリア)を定義。共通で利用する回線・機器を集約し、コストパフォーマンスを最大化した。これにより、機器台数・設置スペース・運用コストの50%削減、消費電力の40%削減を実現している。
そのほか、オンプレミスデータセンター側では、クラウドでは性能要件が満たせない高性能・低遅延・高帯域なサーバファームを実現すべく、末端のサーバまで10Gbpsで接続し、基幹ネットワークも最大60Tbpsまで転送可能な性能を実現した。また、旧データセンターから新データセンターへサーバ環境を移設する際には、両データセンターを仮想的にレイヤー2ネットワークで接続。仮想サーバのIPアドレスを維持したまま、無停止で移行できるようにしており、サービスへの影響を最小限にしている。