日立製作所(以下、日立)は、「第五回 ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査」の調査結果を公表した。
本調査は、日立と博報堂が、両社におけるビッグデータ・IoT・AIの利活用事業推進の一環として、2013年度より継続的に実施してきたもので、パーソナルデータ利活用に対する生活者の意識の変化や、新たな動向に対する関心などを把握することを目的としている。
具体的には、第一回からの継続としてパーソナルデータ利活用にともなうリスクへの不安について調査し、不安の低減につながる対策についても検証している。加えて、第五回となる今回は、新たにパーソナルデータを利活用した新型コロナウイルス感染拡大防止対策についても調査した。
今回、パーソナルデータの利活用に対する意識について新型コロナウイルス感染症の流行に起因すると思われる変化が見られたという。たとえば、パーソナルデータ利活用に対する期待と不安の比較において、不安が大きいと回答する層が減少したことが明らかになった。
また、パーソナルデータを利活用した新型コロナウイルス感染拡大防止対策として「早期発見」や「自身の感染予防」が期待され、利用目的が明確であれば詳細なパーソナルデータの提供を容認する傾向が見られたとしている。
調査結果のポイント
パーソナルデータの利活用に対する生活者の期待と不安の比較は、「不安が大きい」が減少し、「期待と不安が同じくらい」が増加。なかでも、高齢者層の不安減少が顕著
パーソナルデータの利活用に対する期待と不安の比較については、「同じくらいである」と回答した中間層が高い割合を示した。なかでも、60代において中間層が伸長したという。不安要因のトップ2は、前回調査と変わらず「拒否権がないこと」と「活用目的の説明・公表が不十分」であった。ただし、その回答割合は低下した。
また、企業等に求められるプライバシー保護施策について、「データの最小化」「目的の正当性および明確化」への期待が大きく上昇した。これらが生活者の不安低減のポイントになると考えられる。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてのパーソナルデータ利活用に関しては、多くの生活者が期待。利用目的が明確であれば、より踏み込んだデータ活用を容認する傾向
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のためのパーソナルデータ利活用については、生活者の8割以上が期待していることが判明した。特に接触・近接や位置情報を活用した接触予防に期待が寄せられている傾向にある。
行動追跡をともなう対策についてはプライバシー懸念を覚える傾向が明らかになった。感染予防効果を上げる目的で位置情報や移動履歴を提供するための条件として、「パーソナルデータの利用目的の制限」が最も重要視されている。
ニューノーマルへの対応をきっかけとして、パーソナルデータ利活用に対する生活者への理解につなげていくことが、データを扱う事業者にとって今後の課題
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を実践する人は、ITを用いた感染拡大防止対策への参加度が高いだけでなく、感染症拡大防止対策以外のデータ利活用への期待も高い特徴が明らかになった。「パーソナルデータ利活用全般に対する知識・関心度」と「企業等によるプライバシー保護施策による不安の改善度合」でグループ分けしたところ、各グループの意識の違いが明らかになった。
日立は、今回の調査から得られた生活者のプライバシー意識に関する知見は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策ソリューションをはじめとする各種ソリューションの開発・提供や、顧客企業のパーソナルデータ利活用事業の運用支援に生かしていくという。
【関連記事】
・日立ソリューションズ、「DXラボ」開設でオンライン上でのDX支援を実施
・日立、電子契約ソリューションを発売 APIによるデータ連携で負担軽減
・レッドハット、OpenShiftの認定取得を支援 日立や富士通などが賛同パートナーとして表明
・日立システムズ、グループ事業体制を再編 2021年4月1日付で合併実施へ
・日立、トヨタの次世代コールセンター実現を支援 通話内容テキストを自動要約