米現地時間4月19日、IBMは、2021年度第1四半期の連結決算を発表した。
第1四半期の業績ハイライト
- 潜在株式調整後の継続事業による1株あたり利益はGAAPベースで1.06ドル。営業ベース(非GAAP)は1.77ドル
- 第1四半期の収益は1%増(為替変動の影響を調整した場合は2%減)の177億ドル
- 第1四半期のクラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業による収益は4%増(為替変動の影響を調整した場合は1%増)
- システム事業は4%増(為替変動の影響を調整した場合は2%増)
- グローバル・ビジネス・サービス事業は2%増(為替変動の影響を調整した場合は1%減)
- 第1四半期のクラウドによる収益は21%増(事業売却と為替変動の影響を調整した場合は18%増)の65億ドル
- 過去12ヵ月間のクラウド事業の収益は19%増(事業売却と為替変動の影響を調整した場合は18%増)の263億ドル
- Red Hatの収益は過去の業績との比較可能性を考慮して調整すると17%増(為替変動の影響を調整した場合は15%増)
- GAAPベースの売上総利益率は120ベーシス・ポイント成長の46.3%。営業ベース(非GAAP)の売上総利益率は110ベーシス・ポイント成長の47.3%
- 事業活動による純現金収入は4億ドル増の49億ドル。調整済フリー・キャッシュ・フローは8億ドル増の22億ドル
- 過去12ヵ月間の事業活動による純現金収入は186億ドル、調整済フリー・キャッシュ・フローは116億ドル
- 2020年末以降、債務は51億ドル削減
キャッシュ・フローおよび財務状況
IBMは、第1四半期に事業活動により49億ドル(グローバル・ファイナンシング事業における売上債権を除くと21億ドル)の純現金収入を上げたとしている。また、第1四半期のフリー・キャッシュ・フローは15億ドルとなった。これには2020年第4四半期に実施した組織構造上の措置による6億ドルの現金面での影響と、マネージド・インフラストラクチャー・サービス事業の分離にともなう手続き費用の影響が含まれているという。これらの現金面での影響を除外したIBMの調整済フリー・キャッシュ・フローは22億ドル。配当により株主に15億ドルを還元している。
さらに、過去12ヵ月間に同社は事業活動により186億ドルの純現金収入を上げたという。過去12ヵ月間のIBMのフリー・キャッシュ・フローは110億ドル。上述の現金面での影響を除外したIBMの調整済フリー・キャッシュ・フローは116億ドルとなった。
2021年第1四半期末のIBMの手元現金は、2020年末から30億ドル減少した113億ドルで、これには有価証券が含まれる。グローバル・ファイナンシング事業の債務183億ドルを含めた債務総額は564億ドルとなり、2020年末から51億ドル減り、Red Hat買収手続き完了からは166億ドル減っている。
第1四半期のセグメント別業績
クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業(クラウド&データ・プラットフォーム、コグニティブ・アプリケーション、トランザクション処理プラットフォームを含む)の収益は、3.8%増(為替変動の影響を調整した場合は0.8%増)の54億ドル。クラウド&データ・プラットフォームは、ハイブリッドクラウド・プラットフォームおよびCloud Pakの成長に牽引されて13%増(為替変動の影響を調整した場合は10%増)となったという。
コグニティブ・アプリケーションは4%増(為替変動の影響を調整した場合は2%増)で、セキュリティーが成長。トランザクション処理プラットフォームの収益は12%減(為替変動の影響を調整した場合は15%減)。クラウドの収益は38%増(為替変動の影響を調整した場合は34%増)となっている。売上総利益率は60ベーシス・ポイント成長したという。
グローバル・ビジネス・サービス事業(コンサルティング、アプリケーション・マネージメント、グローバル・プロセス・サービスを含む)の収益は、コンサルティングとグローバル・プロセス・サービスが成長して、2.4%増(為替変動の影響を調整した場合は1.4%減)の42億ドルとなった。アプリケーション・マネージメントの収益は減少。クラウドの収益は33%増(為替変動の影響を調整した場合は28%増)となっている。売上総利益率は100ベーシス・ポイント成長している。
グローバル・テクノロジー・サービス事業(インフラストラクチャーおよびクラウド・サービスとテクノロジー・サポート・サービスを含む)の収益は1.5%減(為替変動の影響を調整した場合は5.3%減)の64億ドルだった。インフラストラクチャーおよびクラウド・サービスとテクノロジー・サポート・サービスは減少。クラウドの収益は6%増(為替変動の影響を調整した場合は2%増)。売上総利益率は60ベーシス・ポイント成長したという。
システム事業(システム・ハードウェアおよびオペレーティング・システム・ソフトウェアを含む)の収益は、IBM Zに牽引されて4.3%増(為替変動の影響を調整した場合は2.2%増)の14億ドルだったが、Power Systemsとストレージ・システムは減少している。オペレーティング・システム・ソフトウェアは減少したという。クラウドの収益は23%増(為替変動の影響を調整した場合は21%増)。売上総利益率は430ベーシス・ポイント成長している。
グローバル・ファイナンシング事業(ファイナンシングおよび中古機器の販売を含む)の収益は、20.0%減(為替変動の影響を調整した場合は21.9%減)の2億4,000万ドル。この収益は、ファイナンシング金額の縮小と債権売却を反映しているという。
2021年度通期予測
2021年4月中旬の為替レートに基づいて、2021年度通期は収益増となることを予測。また、110億ドルの調整済フリー・キャッシュ・フローが2021年には120億ドルになることを予測している。調整済フリー・キャッシュ・フローは、2020年第4四半期に実施した組織構造上の措置による約30億ドルの現金面での影響と、マネージド・インフラストラクチャー・サービス事業の分離にともなう手続き費用の影響を除外しているという。
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