情報処理推進機構(以下、IPA)は、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状や実態の把握を目的として作成した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)」を公開した。
IPAは、経済産業省が作成したDX推進状況の自己診断ツールである「DX推進指標」について、各企業による自己診断結果の収集・分析・ベンチマーク提供の業務を2019年10月から担っている。「DX推進指標」では、DX推進のための経営のあり方や仕組みや、DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築について、35項目の定性指標を設け、DX推進の成熟度を0から5の6段階で評価しているという。
本レポートでは、2020年に自己診断結果を提出した企業305社のデータを分析。全体的な傾向をはじめ、企業規模別の特徴、成熟度の現在値平均が3以上の「先行企業」やDX認定制度による認定企業の特徴についても分析を行ったという。また、本レポートで2019年と2020年を比べた結果、日本企業全体としてはこの1年でDXが進んだとしている。
主なポイント
- DX推進の成熟度を測る定性指標において、全指標の現在値の平均は1.60 であり、2019年の1.43から0.17 ポイント上昇(図1)
- 2019年と2020年の2年連続で自己診断を実施した企業86社では、全指標の現在値の平均は1.95であり、2019年から0.23上昇(図2)
- 現在値の平均がレベル3以上の先行企業の全体における割合は8.5%で、2019年の4.4%から約2倍増となった。一方で、レベル3未満の企業は279件で91.5%、レベル2未満の企業は209件で68.5%(図3)
- DX認定企業33社における現在値の平均は2.71であり、全企業の現在値1.60やDX認定未取得企業における現在値の平均1.47よりも高く、DX認定企業は相対的に成熟度が高い(図4)
IPAは、各企業がDX推進指標の自己診断を毎年行うことで、自社のアクションの達成度合いを継続的に評価し、取組状況を進捗管理するために活用していくことを期待しているという。また、DX推進指標の分析の高度化や指標自体の改善などを行うことで、より効果的に日本企業のDX推進に貢献することを目指すとしている。
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