Appierが4月22日、日本市場での今後の事業展開について記者向けに発表会を行った。
同社はマーケティング分野を中心にAIを活用したサービスを開発・提供する台湾発企業。顧客企業の多くは日本に存在し、日本ではAppier Groupとして昨年東証マザーズに上場、現在は東証グロース市場に属している。今回の発表は、マーケティング分野でのインターネット活用に関してのプライバシー規制強化に対応する同社AI技術を説明するために行なわれた。
同社の特長は創業者のチハン・ユーCEOをはじめ、世界的なレベルでのAIの研究者・技術者が多数所属していること。スタッフの70%以上が、AIとビッグデータ分野の博士号または修士を取得しており、学会での論文発表は300以上にのぼる。R&D部門のメンバーは、世界的なデータマイニングコンテストである「KDDカップ」で7度の優勝を果たしている。
会見を行った財務担当シニアバイスプレジデント兼 ヘッドオブジャパンの橘 浩二氏は「インターネットの顧客データの利用規制により課題が生じ、“AIを使えば解決できるのでは”という問い合わせが増えている」と語る。AppleやGoogleのプライバシー強化対応によりサードパーティデータが使えない時代になり、企業自身が収集するファーストパーティデータが重要になったことが同社の追い風だと言う。新規顧客獲得、顧客エンゲージメント、コンバージョンなどをAIを用いて向上させることが同社の強みだ。
同社のSaaS型のAIプラットフォームでは、ユーザー企業のWebに連携させ、サイト訪問した潜在顧客のスクロールやタブ切り替えのスピード、コンテンツの閲覧傾向を瞬時に解析し表示画面を切り替える。企業が持つファーストパーティーデータに対し、機械学習を用いてLTVの最も高いユーザーを抽出する「CrossX(クロスエックス)」、アプリインストール促進キャンペーンのパフォーマンス向上を支援するアプリ広告ソリューション「AIXPERT(アイエクスパート)」やアプリサービス事業者の新規ユーザー獲得をディープラーニングアルゴリズムで最適化する「AIBID(アイビッド)」などが、同社のソリューション群となる。
この領域は激しい群雄割拠の状況で、AdobeやSalesforce、さらには国内のAIベンチャーなどが競合となるが「AIの技術力については他社に劣ることはない」(橘 浩二氏)と自信を見せた。