日本情報システム・ユーザー協会は2月7日、「企業IT動向調査2023」(2022年度調査)の速報値(第2弾)を発表した。
調査概要
- 調査期間:2022年9月9日~10月27日
- 調査対象:東証上場企業とそれに準じる企業の4,500社。各社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケートで1,025社より回答を得た
自社のDX推進を実感できている企業は24.7%。DX推進のキモはデータ活用の推進
「DX推進ができていると思うか」の質問で、「非常にそう思う」または「そう思う」という企業は全体の24.7%だったという(図1)。
売上高が大きい企業ほどDX推進を実感している。売上高1兆円以上の企業では73.2%が「非常にそう思う」または「そう思う」と回答。21年度調査時から13.2ポイント増と大きく伸ばした。一方、売上高1兆円以下になると「非常にそう思う」、「そう思う」と回答した割合は低下し、売上高1000億~1兆円未満では40.3%(0.7ポイント増)、売上高100億~1000億円未満では19.8%(2.8ポイント増)と、売上高1兆円以上の企業と大きく開きがあり、21年度調査時からの伸びも鈍い。売上高100億円未満では「全くそう思わない」の割合が18.4%と「非常にそう思う」と「そう思う」の15.9%を上回った。いずれの売上高規模も、前回調査(21年度)よりもポジティブな回答の割合は上がったが、まだDX推進の成果を実感するには課題を残しているようだ(図2)。
DX推進状況別にデータ活用の取り組み状況をみると、DX推進を実感している企業ほど「組織横断的にデータ活用ができる環境を構築し、ユーザーが利用している」の割合が高く、「非常にそう思う」と回答した企業では「データ活用に取り組んでいない」とする企業は0.0%だった。まだ「非常にそう思う」と回答している企業数は少ない状況だが、DX推進とデータ活用の推進はセットで進めていくことが得策のようだとしている(図3)。
IT部門のテレワーク(在宅勤務)実施率、「7割以上」は12.6%
コロナ禍により一気に進んだテレワーク(在宅勤務)だが、IT部門に限ってみると意外と進んでいない。21年度よりも22年度の方が実施率は下がっており、出勤勤務に戻りつつあるようだという。22年度の現状では、テレワーク実施率「3割以下」が半数を占め、「7割以上」は12.6%、「4~6割」は18.0%だった。今後の予定でも大きな変動はなく、今後も現状のテレワークの実施率を維持していくことが推察されるとしている(図4)。
業種グループ別にIT部門のテレワーク実施率をみると、特に建築・土木や小売・外食など対面をともなう業種グループでのテレワーク実施率の低下が顕著で、小売・外食ではテレワークを「実施なし」とする企業が21年度より16.8ポイントと大幅に増えて40.6%(図5)。
IT部門での働き方はコロナ禍前に戻りつつある。テレワーク(在宅勤務)は浸透し、今後完全になくすわけではないと考えられるものの、働き方の多様化には課題が残るのかもしれないとした。
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