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IPAが『DX白書 2023』を公開、DX事例に関する分析結果などを追加へ

 2月9日、情報処理推進機構(IPA)は、『DX白書 2023』に関する記者説明会を開催した。

 IPA 社会基盤センター イノベーション推進部 部長 古明地正俊氏は、「経営の視点も含め、デジタルをうまく活用していくための支援が必要ではないかと考えて、白書の見直しを行った」と解説をはじめる。

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 前回の白書との違いとして、新たにDXの取り組み事例の分析を踏まえて現況を俯瞰。日米企業アンケートによる経年変化や最新動向は引き続き掲載しているという。なお、コラムの他に経営層向けの『エグゼクティブサマリー』を総論として提供。3月の書籍版には制度政策に関する付録も付くという。

 『DX白書 2023』の第3部以降は『DX白書 2021』を踏襲。今回の調査において、DXの取り組み状況については日本で69.3%と増加している一方で、全社横断での組織的な取り組みという点では米国がリードする形となっている。特に、DXの成果を感じているかという設問に関しては米国に大きく水をあけられる結果となっているが、デジタイゼーションとデジタライゼーションにあたる区分ではその差は小さい。古明地氏は「日本企業の取り組みにおいては、本当の変革に資する部分につながっていない傾向にある。この状況をとらまえて本白書の副題を『進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」』と冠している」と説明する。

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 また、「IT分野に見識がある役員が3割以上の割合」は米国と比べて2倍以上の開きがみられるという。さらに、現場との協調ができていると回答している割合も少なく、「企業内で全社的にDXを推進していく体制ができていないことが読み取れる」と指摘する。

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 DX推進人材に関する全体像については、第4部において下図のように定義。日米を比較したときに、米国では「やや過剰」「過不足はない」との回答が7割を超える一方、日本では「やや不足」「大幅に不足」と回答した企業が8割を超えるなど人材不足が進んでいるという。古明地氏は「DXへの取り組みが増えるにつれて人材不足が目立っている」と言及。加えて、企業内においてDX推進の人材像を設定していない企業が40%を超えており、人材像が明確になっていないことが人材獲得・確保における課題の一つだとした。

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 白書の更改にあたり第5部では、「あるべきITシステムの要件」という項目が新たに設けられており、AI技術やIoT、デジタルツインといった最新の技術動向についても紹介しているという。なお、同項目では『DX実践手引書 ITシステム構築編(完成 第1.0版)」を基に、「スピード・アジリティ」「社会最適」「データ活用」という3つの視点が重要だと紹介されている。「変化に応じ、迅速かつ安全にITシステムを更新できる」という点については、日米ともに重要度が高い。その一方で、達成度において米国に大きく引き離されているという。実際に使用している技術についても、マイクロサービスやコンテナなどを活用する割合は1、2割に留まっており、レガシーシステム刷新についても遅れがうかがえるとした。

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 また、データ利活用の状況については、米国と同水準での割合となっているものの、取り組み予定がない日本企業が約20%もいるため「二極化する傾向がみられる」と古明地氏は指摘。なお、DXと同様に成果を出している日本企業が少なく、米国と大きく差が開いた結果となった。さらに、AIの利活用状況については微増となり普及が減速。自社で理解が深まらず、AIに関する人材も不足していることが原因だという。

 最後に古明地氏は、「DXに取り組む企業が増えているものの、顧客価値創出やビジネスモデルの変革といったトランスフォーメーションの成果面では依然として米国企業と差がみられた。経営者とIT部門、業務部門が協調して進めていくことが重要」と語った。なお、3月中旬を目途に書籍版PDFがIPAホームページ上で公開される予定であり、3月下旬には販売開始するとしている。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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