ガートナージャパン(Gartner)は、国内企業におけるソフトウェア・プラットフォーム・テクノロジの利用状況に関する調査結果を発表した。
2023年2月に、ユーザー企業のシステム開発に従事するソフトウェア・エンジニアを対象に、6種のSEプラットフォームの利用状況について調査を実施したところ、各種プラットフォームの利用が加速している状況が明らかになったという。
現在利用中のプラットフォームは、ビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)が54%と最多で、統合プラットフォーム(iPaaS)が52.3%、API管理が51%と、6種類のうち半数の3種類が、過半数を超えているとのこと。1年以内に利用予定という回答を合算すると、データ統合ツール、ローコード/ノーコード開発ツールも50%を超え、イベント駆動型テクノロジも半数近くになる見込みだとしている(図1参照)。
同社シニアディレクターアナリストの飯島公彦氏は、次のように述べている。
「API、クラウド、モバイル・デバイスなどの普及と進化によるアプリケーションの多様化により、企業での多様なプラットフォームの利用が拡大しています。結果として、企業において利用するソフトウェア・エンジニアリングのプラットフォームは、複数種類が必要となると同時に、今後さらに増える傾向にあります」
今回の調査で最も利用率の高かったBPAは、従来はビジネス・プロセス管理(BPM)のカテゴリーで認識されていた。しかし、デジタル・トランスフォーメーション(DX)や働き方改革の取り組みが活発化した数年ほど前から、業務の効率化・省力化・高速化に向けた自動化という文脈で関心が高まり、コロナ禍をきっかけに、急激に導入が進展したと考えられるという。
API管理の利用率は、BPAとiPaaSに次いで3番目だが、1年以内の利用予定も含めると最多になると見込まれているとのこと。現在、多くのプラットフォームが多様なAPIを生成したり、利用したりする機能を備えており、こうした多様なAPIの普及には、API間の接続や変換だけでなく、適切な利活用の促進と維持のために、API管理のテクノロジが不可欠だとした。APIの組み合わせによるアプリケーション構築が拡大するにつれ、今後もAPI管理テクノロジの適用が拡大すると述べている。
各種SEプラットフォームの導入を計画するアプリケーション/ソフトウェア・エンジニアリング・リーダーは、多様なテクノロジの増加を適切に管理するための対策に、着手する必要に迫られているとのこと。対策には、拡大する複数のプラットフォームの利用状況を部門横断的かつ定量的に可視化する、全社的なプラットフォーム環境のあるべき姿と各種プラットフォームに必要なケイパビリティを洗い出し、プラットフォーム・テクノロジの選定基準、ガバナンス・プロセス、管理基準とそれらを遂行するプロセスを作成することなどが挙げられるという。
飯島氏は次のように述べている。
「SEプラットフォームの選定や管理に当たっては、アプリケーションが実現すべきビジネス成果にひも付いた、ユースケースから導出される個別プラットフォームの要件と、全体としてのあるべき姿との整合性の両面からチェックを行うことが重要です。その際には、必要に応じて、ビジネス・テクノロジストや市民開発者リーダーも含めることに留意すべきです。実現すべきビジネス価値や目的を置き去りにした『画一的な標準化』や、重複投資やガバナンスの齟齬といった企業リスクを招く『案件ごとの個別最適』の視点のみで選定や管理を進めることのないよう注意する必要があります」
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