2023年7月3日、マイクロソフトオートモーティブクラウドのプロバイダーでもあるTechnosoft Automotiveは、日本市場におけるビジネス本格展開に係る記者説明会を開催した。
同社は、オートモーティブ業界に焦点をあてた形で2012年に始動。CRMベースのディーラーマネジメントシステム(DMS)を構築しており、「常に顧客を中心とした製品提供を重要視している」と同社CEOを務めるFredy Tan(フレディ・タン)氏。東南アジアをベースにビジネス展開する中で、約2年前からオーストラリアやトルコなどにも進出しており、現在は東京を含め10ヵ国にオフィスを構えているという。
自動車小売業においてチャネルの多様化が進むなど顧客の行動様式が変化している中、“新たな顧客体験”を実現できるシステムが求められているとして、「Microsoft Dynamics 365」をベースとしたOEM/カーディーラー向けクラウドソリューションの日本市場での本格提供を発表。タン氏は、「日本市場では、特にデータセキュリティやデータプライバシーなどに留意した形でのデータプラットフォームが求められている」とし、SaaSならではの柔軟性、定期的なアップデートはもちろん、堅牢なAzure上に構築されているとセキュアであることを強調した。
「OEMの海外展開が活発なことはもちろん、アメリカと中国に次ぐビッグマーケットでもある。生産性やサービスレベルが高い日本市場でビジネスを展開することで、そこで得られた知見を他国で活かすこともできる」(タン氏)
また、Technosoft Automotive COO兼Technosoft Japan Presidentの吉島良平氏は、日本市場において事業再編が加速しており、CFPをはじめとする社会課題への取り組みなどが求められている」として、日本のOEM海外展開をサポートし、レガシー化した国内のDMSに変革をもたらすと話す。モノリシックなシステムではなくコンポーザルなシステム構築を得意としており、CRM上に構築しているためカバレッジの広さが強みだとした。なお、在庫の受払データをDynamics365 ERPに連携でき、Power Platformでのローコード/ノーコードによる個別開発も可能。担当者別のアプリケーションなども用意しているという。
吉島氏は、ダイレクトメールの文面作成などでOpenAIが活かせると言及すると、OEM/ディーラー側との連携強化はもちろん、日本市場におけるローカライズ対応にも注力していくとして「データを有効活用する仕組みに限らず、業界横断的なデータの可視化、カーボンフットプリントへの対応などについても、データ連携基盤の提供を通してサポートしていきたい」と述べた。
次に、日本マイクロソフト 執行役員 常務 モビリティサービス事業本部長を務める竹内洋二氏は、OpenAIの活用について議論が進んでいるとして「マーケティングにおける活用が進んでおり、アフターセールスの簡素化なども行われている。Technosoftでも活用してもらえる」と述べる。自動車業界の制度対応の負荷軽減に寄与するため、DMSの簡素化と並行しながらローコード/ノーコードを取り入れてタイムリーに必要なソリューションを提供していくことが求められており、同社も協力していくとした。
「どこからどこまでを競争、協調領域としていくかを重要視している。日本マイクロソフトとしても協調領域に関しては画一的な取り組みができるよう、プラットフォーマーとしてTechnosoftのようなエコシステムパートナーと協力して提供することで、OEM事業の投資対効果、費用対効果を高めていく。業界そのものの変革が待ったなしとされている中、生成AIや市民開発といった新たな技術でエンパワーメントしていきたい」(竹内氏)
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