2023年10月30日から2日間にわたり、日本IBMは「TechXchange Conference Japan」を開催。多くのセッションが催された中、同年8月に買収を完了したApptioとの統合戦略についても説明が行われた。
冒頭、「Apptioは、11月1日付でIBMに(社内人事として)正式に加わることになった」と日本IBM データ・AI・オートメーション事業部 理事 製品統括部長 上野亜紀子氏が説明。当面、事業展開においては独立性を担保しつつも、IBMが注力する“IBM IT Automation”として下図を提示すると、InstanaやSevOne、Turbonomicなどと並び、“Proactive Resolution”の領域にApptioを位置づけた。ビジネスにとってITの重要性が増している中、経営にどれだけ貢献できているかを可視化する手段が欠けていたが、そこを埋めるピースとして期待が寄せられていると上野氏は説明する。
なお、Apptioは、2つのNPO法人「TBM Council」「FinOps Foundation」を設立しており、各団体でフレームワークや方法論の確立・普及に取り組みながら、そのベストプラクティスを製品に組み込んだ形で事業展開をしてきた。具体的には、「ApptioOne」がTBM(Technology Business Management)メソドロジー、「Cloudability」がFinOpsのフレームワーク、「Targetprocess」がSAFe(Scaled Agile Framework)に基づく形でソリューションが提供されている。
同社 営業本部 ソリューションコンサルタント 田中友樹氏は、「TBMでは、企業内ITに対してデータドリブンのアプローチを用い、IT予算の統制やコスト最適化など、ITファイナンスの高度化を支援している」と説明。企業におけるITサプライチェーンを可視化することで、たとえば利用されていないITサービスの削減、余剰インフラの最適化、IT予算の予実分析などが可能になるとした。IT部門の自助努力によってコストコントロールをしている現状から、TBMを用いてビジネス部門と協調してのコスト削減に臨み、組織全体でIT予算の最適化、関係性改善などを進めていくアプローチだ。
「総勘定元帳に紐づいたデータだけで可視化したり、そもそも目的を持たずに可視化したりするケースが散見される。TBMでは、ITインフラや各プロジェクト、利用部門のトランザクションデータなどの単位で、5つのデータに基づいて可視化を進めていく」と田中氏。グローバルのTBM Councilで策定された「TBM Taxonomy」に従いながら進めていくため、海外拠点を持つ企業においても横串で可視化できる点も特長だと述べる。
なお、本セッション以外にも多数の講演が行われており、多くの参加者で賑わいをみせる中でTechXchange Conference Japanは閉幕を迎えた。