LRNは、日本企業における倫理・コンプライアンスに関する調査をした「2024年倫理・コンプライアンスプログラム有効性レポート」を発表した。同調査は2023年11月に実施され、日本国内の企業・団体の倫理・コンプライアンス・法務担当者132名を対象に行われたという。

同レポートでは、日本企業における倫理・コンプライアンスプログラム(以下、E&Cプログラム)の透明性と説明責任への注目が高まっていることが浮き彫りになった。しかし、LRNの「倫理・コンプライアンスプログラム有効性レポート」の最新版では、良い成績をあげている人が他の人と同じ行動基準を守るよう効果的に取り組んでいるプログラムの割合は半数以下(46%)にとどまった。
また、E&Cプログラムの有効性に関して、日本では進化を続けていることも明らかになった。プラスの面では、半数(50%)のプログラムが取締役会に直接報告し、トップマネジメントが会社の価値観や目的に沿った難しい決断を行うためのプログラムの割合は62%であることが判明。しかし、「正しい」行動を判断する際に、規則よりも価値観を重視するプログラムは全体の約4分の1(27%)に過ぎず、E&Cを相互に不可欠で重要なものと考えるプログラムはさらに少ない(21%)ことが判明したという。
同社のアドバイザリー・サービス・ディレクターであり、同レポートの主執筆者であるジム・ウォルトン氏は、次のように述べている。
「組織における倫理的価値観への世界的なシフトを受け、日本とアジア太平洋地域は岐路に立たされています。調査データによると、コンプライアンス中心のプログラムが優勢であるが、改善の絶好の機会があります。日本のビジネスリーダーは、ビジネス上の意思決定が企業の価値観に沿ったものであることを確認し、疑わしい倫理的慣行に対処し、一貫した行動基準に努めるよう早急に取り組まなければならない。今こそ、ビジネスにおける倫理とコンプライアンスをより強固な基盤へと進化させる時です」
主な調査結果は以下のとおり。
- 日本では、過去12ヵ月間に意思決定にE&Cを考慮した経営幹部およびシニア・リーダーは57%にとどまり、アジア太平洋地域(65%)および世界平均(61%)を下回った
- 日本の回答者の約3分の2(63%)は、取締役会が過去1年以内に上級役員や優秀なパフォーマーによる不祥事を積極的に取り締まるようにしたと回答
- 日本の組織の83%以上が、倫理・コンプライアンスプログラムを通じて、従業員が不正行為や非倫理的な行動を回避できるよう支援している
- 日本のE&Cリーダーが来年に向けて最優先すべきプログラムには、プログラムの有効性の向上と従業員体験の強化が含まれており、より使いやすいポリシーと手順にする(37%)、オンライントレーニングコースとプラットフォームの改善(34%)、行動規範とポリシーを検索可能なウェブベースに移行する(30%)などに重点が置かれている
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