Boxは、Microsoft Azure OpenAI Serviceとの新しい連携を発表した。
同連携により、BoxとMicrosoftのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスにおけるエンタープライズグレードの基準を適用したAIモデルを活用できるという。また、Enterprise Plusプランのユーザー向けに、Box AIの一般提供が開始された。
Azure OpenAI Service連携
Box AIの原則に基づき、Box AIは中立的なプラットフォームのフレームワークを構築しているため、大規模言語モデルと連携することが可能。MicrosoftとBoxは、FINRAやGxP、FedRAMPなどのコンプライアンス要件を満たすための支援を行っており、この発表をもって、以下のような新たなユースケースにAIを活用できるよう取り組むとしている。
- 金融サービス分野の企業は、市場動向、経済指標、過去の財務データを含むBox内のレポートからインサイトを引き出し、予測や潜在的なリスクを明示した重要な調査結果の要約を提供することが可能
- ライフサイエンス分野の企業は、臨床試験データから情報を取得し、膨大なデータセットの分析を迅速化することで、臨床試験の結果を包括的かつ効率的に理解することが可能
- 公共機関は、有権者からの膨大なフィードバックや政策調査からインサイトを得ることができ、エビデンスに基づいた意思決定や政策立案を導くことが可能。これはAI活用に関するバイデン大統領の指針に合致している
- 保険会社は、クレームレポートから重要な情報を見つけることで効率を高め、対応時間を短縮し、当事者双方に円滑な体験を提供することが可能
- 法律事務所は、複雑な法律文書内の重要な用語、条項、関連情報を迅速に特定し、法律調査に必要な時間と労力を大幅に削減でき、案件に対してより戦略的な要素に集中しやすくなる
Box AI、本日より一般提供開始
Boxに、生成AIを活用したAIの基礎モデルを搭載。ベータ版リリース以来、数千社の企業がBox AIを活用し、社内の文書から必要な情報を抽出したり、自動的に新しいコンテンツを生成したり、コンテンツから即座にインサイトを得ることで働き方の変革やビジネスプロセスの加速化に取り組んでいるという。
現状では、
- 投資アドバイザーは、Box AIを活用してIRの詳細な文書を素早く分析し、資産運用や市場の最新情報に関する意思決定に役立てることが可能
- 臨床研究者は、Box AIを使って膨大な臨床試験を要約し、迅速に重要な知見を引き出している
- プロダクトマーケティングマネージャーは、Box AIを使ってブログやLinkedIn、その他のソーシャル投稿の形式に沿って、柔軟で編集可能なコンテンツを素早く生成している
- 人事の責任者は、社員が必要とする答えを見つけるために、イントラネット上のコンテンツ、会社のポリシーや社員向けハンドブックなどといった機密文書を検索するためにBox AIを使用している
- 非営利団体のアウトリーチスペシャリストは、Box AIを使って効率的に広報資料を作成し、寄付者のエンゲージメントの確認やデータ分析を行っている
Microsoft 365とBoxの連携
- Teams: Boxユーザーは、Teamsのチャネルやチャットから直接Box上のコンテンツにアクセスしたり共有したりすることで、コラボレーションの効率化を図ることが可能
- Word、PowerPoint、Excelユーザーはウェブアプリ版、モバイル版、デスクトップ版、どのBoxに保存されたWordやExcel、PowerPointのファイルでもリアルタイムでアクセスし、作成や編集、コラボレーションをすることが可能で、すべての編集は自動でBoxに保存される
- Outlookユーザーは送信用の添付ファイルをBox共有リンクに変換することで、メールの添付ファイルに伴うリスクや手間を排除し、様々なデバイスから受信された添付ファイルがBoxに保存されるためバージョン管理を実現可能
また、Boxは、Box connector for Microsoft GraphによるTeams連携をはじめとし、Microsoft Copilot for Microsoft 365との連携も予定しているという。
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