富士通とAmazon Web Services(以下、AWS)は、レガシーシステムのモダナイゼーションを加速させるために協業することを発表し、3月18日に会見を行った。「Modernization Acceleration Joint Initiative」(モダナイゼーション・アクセラレーション・ジョイント・イニシアティブ)として 2024年4月1日より取り組みを開始する。
「Modernization Acceleration Joint Initiative」では、メインフレームやUNIXサーバ上で稼働する基幹システムのアセスメントから、移行、モダナイゼーションまでの一貫した迅速でセキュアな支援を提供する。富士通の金融、小売、自動車を含む製造業などの様々な業界の顧客企業を、AWSクラウドに移行させることで、レガシーシステムの最新化を進める。今回その一環として、富士通のメインフレーム「GS21シリーズ」を使用する顧客向けに、「AWS Mainframe Modernization」というサービスを最適化し、レガシープログラム言語であるCOBOLやPL/IをJavaに自動変換する「AWS Blu Age」を導入を推進する。AWSプロフェッショナルサービスの支援の下、この技術を活用することで、「GS21シリーズ」を使う企業は、システムの移行と最新化に必要な時間と費用を減らすことができる。富士通自身の基幹システムを「AWS Blu Age」でJavaに変換し、AWSクラウド上で無事に稼働していることを確認済みだという。
富士通の島津氏は今回の協業の理由として、「AWSが世界中多くのお客様に利用されているグローバルスタンダードなクラウドであるということ、メインフレームのモダナイゼーションで約20年以上の実績を持つAWS Blu Ageというソリューションを有していること、10年以上にわたる戦略パートナーとしての協業の実績があること」を挙げる。
すでに富士通とAWSは、株式会社髙島屋のレガシーシステム移行プロジェクトにおいても協力し、「AWS Blu Age」を使用した事例がある。このプロジェクトは、移行の容易さと、両社のサポートによる安心感から高評価を得ており、移行期間の短縮とコスト削減が期待されていると島津氏は強調した。
また、AWSのウクポン氏は、協業がBlu Ageの提供に留まらず、AIを含むさらなる技術支援へと広がることを示唆した。
富士通はメインフレームビジネスの転換を進めており、2030年までにこの事業から撤退すると昨年発表した。時田隆仁社長の下で事業構造の大幅な変革を目指している。現在、国内では約700台のメインフレームと9400台のUNIXサーバーが稼働中だが、この事業インフラの移行をAWSとの協業で加速させることが、今回の協業の狙いだ。