Atlassian Teamwork Labs(以下、アトラシアン)は、オーストラリア、米国、インド、ドイツ、フランスの約5,000人のナレッジワーカーを対象に「AIの利用に関する調査」を実施した。
調査の結果、次の点が明らかになったとしている。
AIと効果的にコラボレーションしている人は、まず質問から始めている。また、特定のタスクや課題を定義、明確な目標を設定した上でAIを活用。ソリューションのブレインストーミングやアイデアの探索を行い、より良い成果を上げているという。
同社は、対象者がAIについてどのように考え、どのように仕事に活用しているかを調査。その結果は次図のとおり。
ステージ1と2に分類された人は、「単純なAIユーザー」と定義。これらの人たちは、AIを自動化ツールとして考えているという。タスクをより速く、より簡単に終わらせるためにのみAIを使用。主な使い方としては、メール文面を簡潔で効果的なものにする、社内情報の検索などに使用しているとのことだ。
ステージ3と4に分類された人は、「戦略的AIコラボレーター」と定義。これらの人たちは、クリエイティブなパートナーまたは様々な専門スキルを持つチーム全体としてAIにアプローチしているという。たとえば、顧客のエグゼクティブへ訪問する前に、ConfluenceやSalesforceのデータからAIエージェントで顧客の状況を生成し、効果的なミーティングの準備として活用。あるいは、リアルタイムでのアイデア創出を迅速化し、改善するためにAIを活用しているという。
これからの仕事の未来は、人間とAIのコラボレーションだと同社は述べる。調査結果から、最も戦略的なAIコラボレーターとして、次の結果が出たという。
- AIを活用して、労力に対するROIを2倍にしている
- 毎日105分を節約している(毎週1日分の労働時間に相当)
- 時間を節約した分を、新しいスキルの習得に再投資する可能性が1.5倍高い
- 革新的なチームメンバーとして見られる可能性が1.8倍高い
今後の展望
上述の調査結果に基づき、アトラシアンでは次の予測を立てている。
- 燃え尽き症候群が25%減少:これは、ステージ4のAIコラボレーターにおける燃え尽きの50%減少が要因だという。AIは全般的な時間の節約につながるが、ステージ4の人々はAIが仕事のモチベーションと興奮を高めることも報告しているという。これらの傾向により、仕事関連の負担が軽減され、従業員の幸福度の顕著な改善につながるはずであると予測
- AIのROIギャップは2倍になる:戦略的AIコラボレーターは、単純なユーザーの2倍のROIを実現しているが、AIとのコラボレーションの新しい方法を試行錯誤し、開発を続けることで、2026年までに4倍のROIを実現すると予想
- 2025年には、優れた人材管理能力を持つ人々はリーダー的役割を担っていなくても、AIエージェントから75%以上の価値を引き出せるようになる:人材リーダースキルは、創造的なパートナーや専門アドバイザーチームとしてAIをうまく活用するために必要なスキルでもあるという
アトラシアンの調査結果によると、AIを戦略的に活用するコラボレーターは、より高いROI・作業品質・モチベーションを実現しているとのことだ。AIを単なるツールとして扱うのではなく、コラボレーションを行うチームメイトとしてパートナーシップを築くことが必要だと同社は述べる。
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