アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、2024年8月から9月にかけて国内企業を対象に実施したIT投資動向調査の一部結果を発表した。
調査概要
- 調査機関:ITR
- 調査期間:2024年8月19日~9月1日
- 調査対象:ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者およびWeb調査の独自パネルメンバーなどのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者
- 調査方法:Web経由での回答
- 有効回答数:2,374人
「IT投資インデックス」は高水準での推移が続く
2024年度(2024年4月〜2025年3月)のIT予算額は、前年度から「増額」したとする企業が44%となり、2023年度と同じ割合を維持。2025年度は「増額」を見込む企業が1ポイント増の45%となり、2001年の調査開始以来の最高値となることが予想されるという。
このIT予算額の増減を指数化した「IT投資インデックス[1]」は、2024年度(実績値)は3.81で4年連続の上昇となり、2006年度の過去最高値(3.88)に次ぐ高い値となった。また、2025年度は、10%未満の比較的小幅な増額を見込む企業が増えることから、IT投資インデックスはわずかに下降すると見られるとのことだ。
DXは8割強、AIは7割の企業が予算を計上
IT戦略を遂行するうえでDXは依然として重要なテーマとなっており、また、高い注目を集めているAIは本格的な業務適用のフェーズへの移行が進んでいるという。そこで、DX関連予算およびAI関連予算の計上状況を調査したところ、DX関連は82%、AI関連は70%の企業が、各予算を計上していることがわかったとしている。また、これらの予算の全部または一部をIT予算に計上している企業は、DX関連が56%、AI関連が46%と、いずれも半数前後に上っており、IT予算が増加傾向にある一因になっていると考えられるという。
「生成AI」が2025年度の新規導入可能性および投資増減指数で1位
企業ITに関わる全110項目の製品・サービスを対象に、現在の導入状況と今後の投資計画について調査した結果をもとに、2025年度に新規で導入する可能性を「新規導入可能性」、導入済み企業での2025年度の投資額の増減予定を「投資増減指数」として算出し、動向を分析。2025年度の新規導入可能性では「生成AI」が1位、「AI/機械学習プラットフォーム」が2位となり、前年調査の1位と2位が入れ替わる結果に。また、投資増減指数も同じく「生成AI」が1位、「AI/機械学習プラットフォーム」が2位になったという。
加えて、このAI分野への注目と投資意欲の高まりを背景に、「チャットボット/チャットサポート」と「音声認識」が新規導入可能性での順位を上げ、順に3位と10位とトップ10入り。「画像認識」は、投資増減指数を前年調査の10位から2025年度は4位へ順位を上げたという。さらに、新規導入可能性では「iPaaS/API管理ツール」が4位、投資増減指数では、「ローコード/ノーコード開発」が3位へ浮上し、AI機能を組み込んだ業務アプリケーションの開発ニーズが拡大していると推察されるとしている。
注
[1] IT予算の前年度比の増減が「20%以上の増加」を+20、「10%から20%未満の増加」を+15、「10%未満の増加」を+5、「横ばい」を0、「10%未満の減少」を-5、「10%から20%未満の減少」を-15、「20%以上の減少」を-20、として積み上げて回答数で除した値(2016年度以降)。2015年度以前の値は、調査時の設問の選択肢が異なったため、「20%以上の増加」を+20、「20%未満の増加」を+10、「横ばい」を0、「20%未満の減少」を-10、「20%以上の減少」を-20、として同様に算出。
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