booost technologiesは11月28日、「日本をサステナビリティ・トランスフォーメーション先進国へ」プロジェクトを発足。同日、事業戦略発表会を開催した。
booost technologiesは、統合型SXプラットフォームとしてサステナビリティERP「booost Sustainability Cloud」を提供している。同社 CEO 代表取締役の青井宏憲氏は、SXとは「社会のサステナビリティと、事業のサステナビリティが重なり合って、事業そのものがサステナビリティに変遷していく過程のこと。GX(グリーン・トランスフォーメーション)も包含する」と説明した。同製品は80ヵ国以上、18万以上の拠点で利用されているという。製品の特長として青井氏は「サステナビリティ情報は網羅性高く集めないといけないが、グローバルの各拠点から正確性を担保した形でグローバルヘッドクォーターに収集できる。SX経営を推進する上の意思決定に活用できる」ことを挙げた。
続いて青井氏は、サステナビリティ情報の開示動向を説明。「従来は利益追求型で短期だったが、これからは持続可能性、サステナビリティ、中長期の視点が必要になってくる」と述べる。国内では金融庁が、2027年3月期より東京証券取引所(東証)プライム市場上場企業のうち時価総額1兆円以上の企業に、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)基準で有価証券報告書での開示を義務化する見通しとなっている。青井氏は「つまり、サステナビリティ情報の体制構築のデッドラインは2026年度中となる」と警鐘を鳴らす。しかし、多くの企業で着手が遅れており、その危機感も不足している状況から「サステナビリティ2026問題」を指摘した。
同社は、東証プライム上場企業の経営層/サステナビリティ担当者/会社員の計600名に 「サステナビリティ・トランスフォーメーション実態調査」を2024年11月に実施。その結果、次の4点が判明したという。
- 経営者・サステナ担当者ともに、多くの方が自社のSX推進に課題を感じている
- 最も大きな課題は、サステナビリティ経営の重要性の社内での認知不足
- 業務レベルでは、集めたサステナビリティ情報を経営判断に活かすことが最も大きな課題
- 3の理由の1つが非効率的なデータ収集業務にある
booost technologiesは、サステナビリティ2026問題を乗り越えるべく、「日本をSX先進国へ」プロジェクトを発足した。同日、賛同企業を募集開始したが、先立って伊藤忠商事、BIPROGY、パーソルビジネスプロセスデザインは賛同しているという。同プロジェクトの具体アクションは次の2つ。2025年1月以降、順次開催するという。
- サステナビリティ担当者向け:サステナビリティデータ収集・利活用のベストプラクティスを共有するコミュニティの形成
- エグゼクティブ向け:サステナビリティ先進企業のエグゼクティブによるラウンドテーブル
また11月27日には、伊藤忠商事と資本業務提携契約の締結を発表。伊藤忠商事は、グローバル規模でサステナビリティ情報をマネジメントするために「booost Sustainability Cloud」を同グループ連携会社約270社に段階的に導入し、効率的なサステナビリティ情報のデータ収集基盤の構築を進めていくとしている。さらに戦略的パートナーシップに基づき、伊藤忠商事の各カンパニーおよびCTCを通じて、幅広い業種の企業に「booost Sustainability Cloud」およびコンサルティングサービスを提供していく。
伊藤忠商事 准執行役員 IT・デジタル戦略部長 兼 伊藤忠サイバー&インテリジェンス 代表取締役社長 浦上善一郎氏は、「企業が成長していくために、定量面のみならず、定性面も重要。両軸で進めていくことを掲げている。非財務情報の開示は経営でも重要な位置づけ」と話す。同社では従来、サステナビリティ推進部が約600拠点にメールでExcelを送って非財務情報を収集しており、非常に業務負荷が高い状況だったという。そこで、IT部門と共同でbooost Sustainability Cloudを導入することにしたと説明。導入では「業務主管とシステム主管が両輪で進めている。その上、IT部門のメンバーがプロジェクトマネジメントを務め、booost technologiesらとワンチームで導入している」と強調した。
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