日本プルーフポイントは2026年2月26日、日本市場向けのメディアラウンドテーブルを開催した。本国からCEOのスミット・ダーワン(Sumit Dhawan)氏も来日した。
2026年、Proofpointは“Human & Agent-centric Security(人間とエージェント中心のセキュリティ)”をスローガンに掲げ、メールセキュリティだけでなくデジタルワークスペース全体のセキュリティを提供するベンダーとして新たなパラダイムシフトへ踏み出す。この方針は、2025年9月に米ナッシュビル(テネシー州)で開催されたフラッグシップイベント「Protect 2025」で示されたものである。
Google WorkspaceやMicrosoft 365のようなデジタルワークスペースに、次々と便利なAIエージェントやAI機能が実装されていることは言うまでもない。今や組織の中で、人とAIが肩を並べて仕事するような環境が当たり前になりつつある。そして、人とAIがメールやデータ、アプリケーション、さらにはSlackやMicrosoft Teamsのようなコラボレーションツールをともに使っている。言うなれば、「巨大な『エージェンティック・ワークスペース(Agentic Workspace)』上で様々なIT環境と人、AIが交差する世界」だと捉え、それを保護しようとしているのだ。
ダーワン氏は、従来型のアプリケーションとは勝手が異なるAIの特性に言及した。AIは、アプリケーションのように必ずしも要件や予測のとおりに動くとは限らない。時には予想だにしない振る舞いを見せる。勝手にどこかのデータにアクセスしたり、勝手に他部署や他社のAIと相互作用をしたり……自律化が進むと、まるで人のように自身で回答を導き出し、場合によってはそれにしたがって行動するかもしれない。
「これまで、人やアプリケーションのやり取りをセキュアにしてきたのは、あくまでもネットワークのレイヤーでした。何が標準で、何が異常なのかをすぐに予測・判別できたからです。しかし、AI時代ではその常識が変わりました。(中略)人がフィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングにひっかかってしまうように、AIもプロンプトエンジニアリングにひっかかってしまいます」(ダーワン氏)
つまり、「これまで“人の脆弱性”に適用してきたセキュリティやガバナンスをAIにも適用しよう」というのが、Proofpointの主張であり設計思想だ。それを体現するのが、“振る舞い”に着目した防御アプローチである。発生した異常そのものだけでなく、近いうちに異常をもたらしそうなデジタル空間上のコミュニケーション、不正な情報利用やその兆候などを検知し、未然にインシデントを防ぐというものだ。
これを実現するものとして、同社は大きく「コラボレーションセキュリティ」と「データセキュリティ&ガバナンス」の2つの分野に製品をカテゴライズし、新製品を含む包括的なソリューションを提供していくと表明している。
具体的なソリューションを見ていこう。まずは2026年第1四半期より、「Proofpoint Secure Agent Gateway」が提供される予定だ。先述した、AIエージェントによるデータへのアクセスを制御・監視したり、必要とあらばブロックしたりできる。ユーザーの組織が策定したポリシーを強制的にAIエージェントに適用することも可能だ。ここにはMCP(Model Context Protocol)が活用されている。
また、同時期にコラボレーションの分野では「Threat Interaction Map」が、データの分野では「Data Risk Map」が提供される予定だ。これにより、データの所在や移動、アクセス状況から、ワークスペース環境での不審な行動に至るまでを、すべてマッピングする形で可視化できるようになる。これにより、特定までの時間を大幅に短縮することをねらう。
さらに、昨年9月の目玉発表として注目されたのが、セキュリティ運用を自動化・自律化するエージェンティックAIブランド「Satori(サトリ)」である。初期のラインアップとしては、トリアージやレポート、レビューなどの反復作業を肩代わりする各種エージェントが発表された。加えて、「Proofpoint Satori MCP Access」により、CrowdStrikeやMicrosoft Copilotなど他プラットフォームをベースに稼働するAIエージェントが、Proofpointのプラットフォームへと安全にアクセスできるよう制御されるという。
これらとあわせて、エコシステムの拡大とシームレス化にも注力する姿勢だ。XDRやアイデンティティ(ID)、クラウド環境保護のSASEなどといった他領域でセキュリティを展開するベンダーと密に連携し、業界一丸でユーザーのIT環境全体を保護していくと、ダーワン氏は昨年に続きあらためて強調した。
日本法人も、2026年度は新たなフェーズを迎える。代表取締役社長には新たに野村健氏が就任し、日本というローカル市場への積極投資の姿勢を明確にしている。「日本をNo.1の戦略的投資市場と位置付け、4年間で3倍の成長を目標として掲げる」と野村氏は述べた。その一環として、日本特有の課題や慣行、さらにはソブリン性の確保、モデルの日本語対応にも現在進行形で注力しているという。加えて、日本における人員体制も強化していく方針だ。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
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