米国の民事訴訟における制度のひとつであるeDiscoveryでは、電子メールやOfficeファイル、Webサイトなど訴訟に関わる電子データの開示を原告・被告の双方に義務づけている。訴訟に関連している可能性のあるデータを保管するためには人的・物理的ともに大きなコストが掛かるものの、対応を怠ったと判断された場合には厳しい制裁が加えられるため、米国企業との取り引きを行う企業にとっては検討が必要不可欠な課題となっている。
eDiscovery Analyzerは、蓄積した電子データをeDiscoveryの観点で解析・分類し、監査役や弁護士、捜査官など関係者の負担を軽減するソフトウェア。文書の相関関係に基づいて関連ファイルをピックアップしたり、メールの送受信者の関係性を判断して情報漏えいの疑惑がある文書を特定するといった機能を提供する。最新版のV2.2では、話し言葉・書き言葉など日常的に利用される日本語の解析に対応し、電子情報の分析・抽出の精度を向上させた。
また、eDiscoveryに特化した検索機能を提供する新製品「IBM eDiscovery Manager V2.2」の販売を同日から開始する。処理に一定の時間が掛かるeDiscovery Analyzerを使った高度分析の対象を、あらかじめeDiscovery Managerを使って分析対象を大枠で絞り込んでおくことで、必要な情報を抽出するための所要時間を短縮することができる。新バージョンでは、訴訟関連の業務を細かく制御するために、監査担当者、訴訟関連文書検索担当者、IT管理者など利用者の権限を個別に設定できる機能などを追加した。
実際にeDiscoveryへの対応を行う場合は、弁護士や専門のサービス業者に委託する場合も多いが、情報の選別・精査や提出物作成を代行するサービスは一般に情報量に応じて課金されることが多いため、企業内である程度情報を整理しておくことの意味は大きいという。
IBM eDiscovery Analyzer V2.2は30,600円~、IBM eDiscovery Manager V2.2は5,880円~(※)。また、IBM eDiscovery AnalyzerとIBM eDiscovery Managerに、日々の電子情報の収集・蓄積を行うソフトウェア「IBM Content Collector」を加えたバンドル製品「IBM Content Collector Discovery Analytics」の提供も開始する。
※1Authorized User Value Unit:ソフトウェアにアクセスする許可ユーザー数と、ソフトウェアによってコンテンツが分析される可能性のある許可ユーザー数をもとに算定