経済産業省が2004年から開催している「セキュリティキャンプ」が今年から新にプログラミングコースを設け、下は中学生(14歳)から大学生(22歳)まで計46名の学生が全国から幕張の財団法人海外職業訓練協会(OVTA)に集まった。17日までの5日間にわたる合宿で、第一線のエンジニアによる集中講義を受けるとともに、同行の士としての友好を深め合う。
セキュリティコースは120名の応募者から選ばれた29名が、サーバ、Webプログラミング、ネットワーク、解析の4クラスに分かれてそれぞれの専門科目と、ハニーポットや不正実行防止などの自由選択科目を学ぶ。今年から新設されたプログラミングコースでは、140名の応募者から8倍以上の倍率を勝ち抜いた17名が、C言語やJavaScriptによるプログラミングを実習し、オープンソースソフトウェアなどについて理解を深める。
13日午後の開講式で、実行委員長の三輪信雄氏(綜合警備保障株式会社開発企画部参与)は、「今年は「&プログラミング」が付いて人数も増えたが、プログラムを知らないでセキュリティはできないし、セキュリティのことを知らないでプログラムはできない。コースを超えた交流の機会もあるので活かしてほしい。どれだけ仲良くなるかもキャンプの目的。お互いオタク自慢をして楽しんでください」と挨拶し、講義を熱心に受けるだけでなく、講師やチューターまでも含めた積極的な交流を勧めた。
開講式の後は、さっそくセキュリティとプログラミングそれぞれのコースに分かれ、午後の部と夜の部の講義が22時まで行われた。セキュリティコースの夜の講義では、スペシャルセッションとして歌代和正氏(有限責任中間法人JPCERTコーディネーションセンター代表理事)が、「ハッカーになれ」と題した特別講義を行った。
ジョン・ギルモア氏による「UNIX hierarchy(UNIX階級)」(およびその太田純氏による翻訳)や、まつもとゆきひろ氏の連載にも引用された「ハッカーの定義」(『ハッカーズ大辞典』掲載、原文)およびラリー・ウォール氏の「ハッカー三大美徳」(『プログラミングPerl』掲載された)、スティーブン・レヴィ著『ハッカー』に掲載されたリチャード・ストールマン氏のパスワードに関するエピソード、そして山形浩生氏の「Hackについて」といった古今東西の「ハッカー」に関する文書を紹介した後で、自身もfjに投稿されたハッカー的プログラム「slコマンド」の作者として知られる歌代氏は、「役に立たないで評価されるものを作るのは難しい」とハッカー精神を貫く面白さを語った。
14日以降は午前8時から講義がはじまり、受講生は朝から夜までセキュリティ漬け・プログラミング漬けの5日間を過ごす。プログラムには企業見学や交流会も盛り込まれ、プログラミングコースの特別講義は株式会社はてなの伊藤直也氏が16日に「プログラミングは世界を変える」と題して行う。最終日には発表会も予定されている。