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ヤフーの財務会計システムを「Oracle E-Business Suite」により8か月で刷新

 Yahoo! JAPANでは、国内ベンダーのERPパッケージを2005年に導入し、決算業務および債務管理に利用していたが、事業規模の拡大に伴い旧システムでの処理が間に合わないなど問題が生じていたという。

 また、2014年度からIFRS(国際会計基準)対応の決算開示が決定しており、IFRS対応のERPへの移行が急務になっていたため、2013年に新たなERPパッケージ導入を決定した。

 新システムとして採用するERPパッケージの選定は、2013年9月から約3か月をかけて、TISが業務分析と各製品の性能評価を行い、複数パッケージを提案した。さまざまな評価基準の照合と、実際に社員が操作を行うなどの過程を経て、Yahoo! JAPANは「Oracle E-Business Suite」の採用を決定した。

 決め手となったのは、数か月の間隔で業務・組織が大きく変貌する同社のスピード経営に対して、「Oracle E-Business Suite」に高い適性があるという点だった。データソースの構造が公開されているため、業務に合わせて柔軟なカスタマイズが行え、モジュール追加により適応業務範囲を拡張できる柔軟さなども高く評価されたという。

 新ERPへの刷新プロジェクトは、旧システムと同じく「財務会計(GL)」「債務管理(AP)」に機能を絞り、2015年2月の四半期決算報告での新システムの活用をめざし、2014年2月に導入作業が開始された。プロジェクトでは、日本オラクルの技術支援のもとで、TISが全てのプロジェクトマネジメントを行った。

 新システム導入では、約15の既存システムとの連携が必要で、TISが「Oracle E-Business Suite」向けに独自開発したツール「TIS自動仕訳エンジン」を活用した。このツールは、専用画面で仕訳ルールを設定すれば、既存システムのデータを「Oracle E-Business Suite」向けに適切に変換できるため、個別のアドオンの開発が必要なくなり、プロジェクトのプログラミングの工程の大幅な圧縮に結びついたという。

 2014年9月には8か月間の導入フェーズが終了し、10月から新システムは稼動を開始。当初の予定どおり2015年2月に開示した四半期決算報告では、「Oracle E-Business Suite」で処理したIFRS対応の決算情報が用いられた。

 新システムでは、データ集計のバッチ処理が約半分に短縮されるなど、処理速度の改善を実現すると同時に、決算業務がシンプルになり作業手順がより厳密になることで、内部統制の強化にもつながっているという。

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