2014年の国内DCファシリティ市場は、前年比成長率12.6%の2,764億円だった。このうちファシリティ新設/増設市場は2,263億円、ファシリティ保守/更新市場は478億円、ファシリティコンサルティング市場は23億円。
新設/増設市場は増減のサイクルを繰り返す特性を持っているため、2015年に市場規模が縮小するが、2016年には再び成長率がプラスに転じる見込み。ただし、国内での建築価格上昇の影響により、2019年には再び成長率は大きく低下するとIDCではみている。
一方、ファシリティ保守/更新市場は、2014年から2019年まで堅調に拡大し、この間の年間平均成長率は10.5%で推移すると予測している。1990年前後に建設された、「インテリジェントビル」と呼ばれるオフィスビルが、今もDCの建物として使われているケースが多く、これらのDCでは今後築25年目を迎えるところが増え、ファシリティの改修/更新需要が拡大するためだという。
今回の調査対象には、クラウド事業者などのITベンダーのデータセンター(事業者DC)と、金融機関、官公庁、製造業などの一般企業のデータセンター(企業内DC)の両方が含まれている。
このうち、事業者DCのファシリティ保守/更新市場における2014年~2019年の年間平均成長率が13.4%となるのに対し、企業内DCのファシリティ保守/更新市場では5.0%となる見込み。
これは、事業者DCでは、DCファシリティの市場競争力を強化するために、ファシリティ性能および効率の強化のための投資が継続するのに対して、企業内DCではクラウドサービスやITアウトソーシングなどのサービス利用によってDCファシリティの規模が縮小される傾向にあるためだとしている。
国内では、今後多くのDCで一斉に大改修の時期を迎えることになる、その一方で建築コスト上昇や電力コスト上昇など、DCファシリティを取り巻く環境も変化するものとみられる。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内データセンターファシリティ市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」に詳細が報告されている。