アウトソーシング市場の2014年~2019年の年間平均成長率は4.0%で推移すると予測
IDCは、国内ITサービス市場におけるITインフラストラクチャに関わる領域の影響を定量的に捉えるため、これを国内ITインフラストラクチャサービス市場として切り出している。そして、2014年の実績と2015年~2019年の市場予測を分野別(ITインフラストラクチャコンサルティング&インテグレーション、ITインフラストラクチャアウトソーシング、ITインフラストラクチャサポートサービス、ITインフラストラクチャセキュリティサービス)にまとめている。
2014年のITインフラストラクチャコンサルティング&インテグレーション市場では、景気回復に伴う企業や政府/自治体のシステム構築需要を背景に、前年比成長率は6.9%に達した。しかし、2015年以降はその反動に加え、クラウド移行に関する需要の一巡、非クラウドのインフラ構築案件の減少などにより成長率は低下し、2014年~2019年のCAGRは1.9%に落ち着くと予測している。
一方、ITインフラストラクチャアウトソーシング市場においては、データセンターを利用したプライベートクラウドやハイブリッドクラウドなどの需要拡大によって、成長率は徐々に下降しつつも堅調な成長を続けるとみている。2014年~2019年のCAGRは、4.0%で推移すると予測している。
セキュリティサービス市場は2015年以降に成長率が上昇する
ITインフラストラクチャサポートサービス市場は、最大のセグメントであるソフトウェアサポート&保守が安定した成長を続けるとみている。しかし、ハードウェアサポート&保守の長期的な縮小の影響で、市場全体では2014年~2019年のCAGRはマイナス1.2%にとどまると予測している。
最も注目されるのは、ITインフラストラクチャセキュリティサービス市場で、市場規模はまだ他の市場と比べると大きくないが、成長率で見ると2015年以降、国内ITインフラストラクチャサービス市場の中で唯一上昇するとみている。2014年~2019年のCAGRは、5.9%に達すると予測している。
ITインフラストラクチャは、第3のプラットフォームの動向の影響を大きく受け、またセキュリティもそれと並ぶ極めて重要なテーマとなっている。
IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は、「ITサービスベンダーは、まずは情報セキュリティ対策向けサービスとその体制を最優先で充実させる必要がある。そして、高い技術力で第3のプラットフォームおよびセキュリティを支える海外のテクノロジーベンチャー企業にも積極的にアプローチすべきである」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内ITインフラストラクチャサービス市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」にまとめられている。