2015年は、金融機関等の大型案件とPC更新需要でIT支出を伸ばした2014年の反動を受け、全体で14兆7,837億円、前年比0.1%の成長に落ち着く予測となるが、通信/メディアおよび消費者を除き、すべての産業分野でプラス成長を見込んでいる。
特に銀行、製造業、小売業、運輸業、サービス業が堅調なIT支出を維持することが見込まれ、国内IT市場の2016年の前年比成長率を2.7%、2017年を2.0%と予測している。
金融セクターにおける大手都市銀行やゆうちょ銀行での大型案件、地方銀行の再編によるシステム統合などの案件、大手金融機関を中心にFinTechやコグニティブなどITによるビジネス/サービス革新を進める動きが、国内IT投資をけん引する。
製造業では、基幹システムの刷新を終えた企業が、グローバルサプライチェーンの最適化や、生産ラインの自動化、設計/開発領域でのデジタル化や標準化を見据えた環境整備へ進む動きが見られる。オムニチャネル推進が加速する小売業では、それを実現するプラットフォーム構築やデジタルマーケティング領域での投資が後押しするとみている。
ユーザー企業調査結果からは、第3のプラットフォームと、IoTといったイノベーションアクセラレーターの取り組みが経営層からIT部門に出される指示に含まれていた。一方で、IT部門の課題にはビッグデータなど「新たなIT戦略を検討する人材の不足」や「ITを活用する事業に関する知識不足」が上位に挙がり、IT部門に経営層から課せられたミッションと、それを実行するためのIT部門の体制にギャップがあることが分かった。
IDC Japan ITスペンディング マーケットアナリストの岩本直子氏は、「ITベンダーは、IT部門の役割が変化していく中、IT部門の課題解決の支援を踏まえた提案をし、IT部門のミッション達成に向けて伴走する役割を担うべきである」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内IT市場産業分野別予測アップデート、2015年~2019年:2015年上半期の実績に基づく」および「2015年国内IT市場産業分野別動向分析アップデート:2015 年上 半期の実績に基づく」にまとめられている。