2015年度のIT市場規模は前年度比2.8%増の11兆6,350億円を予測
2014年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、前年度比3.6%増の11兆3,180億円と推計した。2015年度は、前年度比2.8%増の11兆6,350億円、2016年度は前年度比1.1%増の11兆7,630億円、2017年度は前年度比0.6%減の11兆6,900億円を予測する。
内閣府・財務省の「法人企業景気予測調査」や、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査(短観)」など、さまざまな指標から、大企業、中堅企業を中心に景況感は明るい見通しが示されている。一方、中小企業では依然として経済環境に対して厳しい見方が続いているが、この調査において実施をした法人アンケート調査における回答企業の売上高、営業利益をみると、いずれも2013年度から2015年度に向けて上昇傾向にあり、堅調な業績を見込んでいる企業が多い。
2016年度までは、同法人アンケート調査における回答企業の比較的明るい見通しと大手ITベンダーの決算が順調に推移していること等を受けて、国内民間企業のIT市場は微増ながら拡大していくと予測する。2017年度については金融業を中心とした基幹システム等の更新・開発案件が一巡すること、また2017年4月の消費税再増税などがマイナスに影響するものとみられ、前年度比で若干ながら減少すると予測する。
なお、海外に目を向ければ中国経済の不透明な先行きなど、世界経済に大きな影響を及ぼす要因もあるため、将来動向については注視する必要があるものとする。
高まる情報セキュリティ対策への関心
この調査において実施をした法人アンケート調査の設問項目のうち、今後3年間におけるIT投資の目的(複数回答)について、過去の調査時における回答比率を比べてみると、「情報セキュリティの強化」「システム基盤全体の効率化」「社内コミュニケーションの強化」「営業の強化」「財務会計業務の効率化」は上位5項目にあるが、なかでも「情報セキュリティの強化」に対する回答比率が2012年調査時以降、年々上昇傾向にある。
昨今の企業や団体からの個人情報の漏えい問題などを受け、個人情報の管理・運用体制は対処すべき最重要の課題となっている。こうした背景が各企業や団体における情報セキュリティ対策への投資行動として表れているものと考える。
なお、今回の発表について詳しくは、矢野経済研究所が刊行した「国内企業の IT 投資実態と予測 2015」にまとめられている。