ストレージソフトウェアの需要を押し上げているおもな要因は2ある。第一に、ITインフラの運用効率化/自動化への要求が高まっていること、第二に、ソーシャル、モバイル、IoTなどの活用に取り組むユーザーが増えてデータ量が飛躍的に増えていることがあげられる。また、データ保護や可用性対策への支出も堅調で、大企業を中心に災害対策の強化も進んでいる。
ただし、堅調な需要とは裏腹に、ストレージソフトウェアの供給サイド、特にストレージシステムのベンダーから提供されているストレージソフトウェアの動向には不確定要素が見えている。つまり、ベンダーがより高度な機能をソフトウェアとして提供し続けることが確実である一方、それをどのような価格戦略、製品パッケージで提供するのかについては幾通りかの方針選択があり得るからだ。
ベンダーがストレージビジネス全体の競争力強化を考慮した場合、ストレージソフトウェアのスイート化や標準搭載が増える可能性があり、その場合にはストレージソフトウェアとしての売上は下がる。ストレージソフトウェアの機能進化や高度な機能の普及と市場の売上規模の拡大は必ずしも同調したペースとはならないとみている。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「デジタルトランスフォーメーションに成功し、競争力を増す企業が増えていく中で、多くの国内ユーザーはデータ活用の促進を図るであろう。これまでとはスケールの異なる大容量データを扱う企業も増え、ストレージインフラはソフトウェアを高度に利用した洗練された仕組みへと改革されるとみられる。また、Software-Defined Infrastructureを志向し、運用の自動化を進めるユーザーが増えることもストレージソフトウェア機能のニーズを高めるが、統合的なIT管理ソフトウェアで提供される機能を利用するユーザーも出てくることで、製品の選択は多様化するであろう」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内ストレージソフトウェア市場測予測アップデート、2015年~2019年」にまとめられている。