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2022年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望――NRIが発表

 発表によると、ICT・メディア市場は、AI(人工知能)やIoTなどの技術が進化・活用される中で、さまざまな構造変化が起きている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、インバウンド市場の拡大やスポーツ・健康意識の高まり、建設業界の活況、車の自動運転への取り組み強化など、ICT・メディアがあらゆる産業や日常生活に多大な影響を及ぼしつつある。そうした市場の動向を捉え、5年後までの市場を予測、分析しているという。

 主要5市場の特徴的な動向分析と予測の結果は次のとおり。

デバイス市場――スマートフォン等端末の成長は世界全体で継続。デバイスのインテリジェント化が加速

 ・これまでデバイス市場をけん引してきたスマートフォン、タブレット端末は、普及率の上昇、新興国向け販売比率の拡大などにより、2022年度に向かって台数ベースの市場成長率の鈍化と価格下落が続く。  ・世界の携帯電話端末(スマートフォンを含む)の販売台数は、2014年度の19億8,800万台から2022年度には22億7,700万台へとゆるやかに成長する。

 ・タブレット端末の販売台数は、世界では2015年の2.2億台から2022年には2.8億台へ、国内では2015年の770万台から2022年には990万台へ増加すると予測される。

 ・IoTのシステムやサービスにセンサーやカメラ等のデバイスが組み込まれることがますます進むと予想されるが、IoTが本格的に普及していくためには、デバイス側に高度の処理能力を持たせるようなインテリジェント化が必要。

 ・多くのプレイヤーがIoTのためのプラットフォーム(IoTのシステムやサービスの実現に必要な共通基盤)の構築を急いでいる。

図1:世界の携帯電話端末販売台数の推移と予測(作成:NRI)  

ネットワーク市場――MVNOなど既存以外の通信事業者が台頭。通信ネットワークの新たな提供形態が幕開け

 ・携帯電話の契約回線数は、タブレット端末および通信モジュールが組み込まれた機器の増加、多様なMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)の登場などにより、2015年度の1億5,405万回線から2022年度には1億7,789万回線に増加する。

 ・国内の固定ブロードバンド回線の加入件数は、2015年度の3,470万件から、2022年度には3,691万件に達する。その中心となる光回線は、市場の約7割のシェアを保有するNTTが「サービス卸(光ファイバー回線を他企業が自社のサービスとセットで提供できるようになる回線の卸売りサービス)」を開始したことにより、今後、通信事業者に限らず、多様なプレイヤーが通信サービスに参入し、市場全体が活性化する。

図2:国内の携帯電話・PHS契約回線数の推移と予測(作成:NRI)  

プラットフォーム市場――EC、広告、ペイメントともにスマートフォン・タブレットの活用が市場をけん引

 ・B2C EC(企業と消費者間の電子商取引)市場は、2015年度には15.4兆円となり、2022年度には26兆円に達する見込み。携帯端末の普及に伴い、自宅のパソコンからだけではなく、時間や場所を問わずにECを利用できるようになってきたことが、市場の成長を後押しする。

 ・スマートフォンの普及により、アプリからのネット接続が増加する。このため、インターネット広告ではアプリ内のリワード広告(成功報酬型広告の一種で、訪問者に報酬の一部を還元する仕組みを持つ広告)や、SNSを活用した新たな広告手法が登場する。それらが一定の成功を収めることで、インターネット広告市場全体は2015年の9,194億円から2022年には1兆2,725億円に拡大し、そのうちモバイル向けの広告の比率が、2015年の42%から2022年には60%へ増加する。

 ・Apple PayやAndroid Pay等、スマートフォンのプラットフォームを活用した支払・決済方式であるスマートペイメントが拡大する。

図3:国内におけるB2C EC市場規模の推移と予測(作成:NRI)  

コンテンツ配信市場――コンテンツが高付加価値化し、周辺付加価値サービスの提供が広がる

 ・動画配信市場は、携帯電話事業者が自社端末向けに提供するサービスの普及や、2015年9月にサービスを開始した米国の大手動画配信サービスであるNetflix(ネットフリックス)など、月額固定料金で豊富な映像コンテンツを視聴できるサービスの利用拡大にともなって、2015年度の1,531億円から2022年度には2,188億円に成長する。

 ・ゲーム市場では、ハードウェアの市場規模は、2015年度の1,353億円から2022年度には970億円へ、ソフトウェア市場は2015年度の1,949億円から2022年度には1,857億円へと減少する。一方、ソーシャルゲームの市場規模は、2015年度の9,987億円から2022年度には1兆132億円への拡大が予測され、今後も市場をけん引していく。

 ・オリジナルコンテンツ制作の取り組み、4K、ハイレゾ、AR/VRへの対応等、コンテンツの高付加価値化と、配信先の多様化等による周辺付加価値サービスの拡大に向けた取り組みが進む。

図4:国内における動画配信市場規模の推移と予測(作成:NRI)  

ソリューション市場――引き続きIoTが成長をけん引。投資形態に変化が生じ協業が加速

 ・スマートフォンなどのスマートデバイスによるヒト・モノの情報武装化、およびネットワークの高速化とデータ分析技術の発展等により、IoT市場は2015年の5,200億円から2022年には3.2兆円の規模に至る。

 ・データセンター、クラウド市場は、2022年度まで引き続き堅調に拡大していく。ソリューション市場の中では、増大するサイバー攻撃などの脅威により、情報セキュリティ市場がますます拡大していく。

 ・IoTの普及で、従来の「IT部門×システムインテグレーター」型のIT投資から、より迅速で軽量なIT開発ができる「現業部門×クラウドプレイヤー」型の投資が拡大することが予測される 。

図5:国内のIoT市場規模の推移と予測(作成:NRI)  

 なお、今回の発表について市場分析や予測の詳細は、単行本「ITナビゲーター2017年版」として、東洋経済新報社より11月24日に発売される。

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