2016年の国内IT市場は、ハードウェア市場が各地でブレーキとなり、東京都(前年比成長率2.1%)以外でプラス成長は見込めない。特に、北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方、九州地方などの大都市圏以外の地域では、前年比3%減以上のマイナス成長を予測しており、大都市圏(東京都、関東地方、近畿地方、東海地方)以外の地域の成長率を上げるためには行政主導による地方創生のための抜本的な変革が必要だ。
2017年においても、東京都のみでのプラス成長は変わらず、大都市圏と大都市圏以外の格差は引き続き広がる。東京都内には業績好調の大企業が多く、他地域に比較して第3のプラットフォームを活用した戦略的IT投資も増加している。
さらに、2020年開催の東京オリンピック/パラリンピック向け投資も見込まれる。一方、大都市圏以外の地域には業績が低迷している中小企業の割合が高く、それに伴う海外シフトやインバウンド需要の大都市圏への集中などの要因が響き、IT支出は抑制傾向となる。ITベンダーは、大都市圏の大企業や大都市圏以外の中小企業、行政機関などそれぞれのニーズや課題の違いを的確に捉える必要がある。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITベンダーは、企業向けには、大企業を中心にデジタルトランスフォーメーションを提案、推進し、行政関連市場においては、地域間格差の是正に向けて第3のプラットフォームを活用した地方創生を推進していくべきである」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IT市場 地域別 予測アップデート,2016~2020年」にその詳細が報告されている。このレポートでは、2016年~2020年の予測、IT支出動向を左右する主要なトピックなどについて、地域別に分析している。
また、「2016年 国内IT市場 地域別動向分析アップデート:2016年第2四半期の実績に基づく」では、さらに各地方の動向について詳細に分析している。なお、調査レポートに加えて、国内IT市場を地域別(上記8分類)、製品別(7分類)、産業分野別(13分類)、企業規模別(4分類)で分析可能なピボットテーブルを提供している。