産業用ネットワーク機器は、1.5倍から2倍でビジネスが拡大している成長領域
産業用ネットワーク機器市場は、大きく分けると、ヒルシュマンやMoxaのような産業用ネットワーク機器専業ベンダー、ロックウェル・オートメーションのような産業用制御装置ベンダー、そしてシスコシステムズに代表される一般用企業向けネットワーク機器も提供するベンダーによって構成されている。
専業ベンダーは、長期間に渡りOT(Operation Technology)の現場と密接なつながりがあるという強みがあり、一般用企業向けネットワーク機器も提供するベンダーは、ITネットワークでの高度なネットワーク技術を有するという強みがある。国内産業用ネットワーク機器市場に対して、今回調査対象にしたベンダーは、前年比1.5倍~2倍程度でビジネスが拡大している成長著しい領域であると捉えている。
「実績ある技術を活用して産業用ネットワークの高度化、効率化を進めるべき」
一方で、現在の市場規模はまだ大きくはなく、産業用ネットワーク機器の需要はこれから本格化するといえる。企業におけるIoT導入の気運がますます高まっていけば、現在のところ限定的な生産機械のネットワーク化が進むとIDCではみている。
また、ネットワーク接続技術の移行も今後進展するといえる。伝統的なフィールドバス技術からイーサネット/IPネットワークへの移行、あるいは固定から無線技術活用へのシフト、LPWA(Low Power Wide Area)を含む無線技術の次世代化/5Gの活用へと向かうとみている。
これから活用が本格化する産業用ネットワークは、ITネットワークとの効率的な統合と分離の実現や、無線と固定ネットワークの統合管理といった課題に対応していかなければならない。
そのために産業用ネットワーク機器ベンダーは、「すでに実績のあるITネットワークの技術を有効活用して、産業用ネットワークの高度化、効率化を進めるべきである。セキュリティに関しては、早急にITネットワークレベルに引き上げるべきである。最近は、対策が施されていない脆弱なIoTデバイスがターゲットになってきていることもあり、対策は急を要する」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表はIDCが発行した「2016年 国内産業用ネットワーク機器市場動向分析: IoTがネットワーク機器市場に及ぼす影響」にその詳細が報告されている。このレポートでは、国内産業用ネットワーク機器市場におけるベンダーやインテグレーターの動向やOTベンダーとの連携に関する分析を中心に、産業用ネットワーク機器の特性やIoTが産業用ネットワーク機器市場に及ぼす影響についても分析している。