2016年の国内市場規模は53億円、前年比成長率は72.1%
現在、企業のパブリッククラウド利用が急速に増加している。この影響で、パブリッククラウド接続用途WANサービスの市場規模も、2016年は53億円、前年比成長率72.1%と大幅に拡大している。
供給サイドでは、多くの通信事業者がパブリッククラウドのプライベート接続用ゲートウェイ(AWS Direct ConnectやMicrosoft Azure ExpressRouteなど)に閉域接続するためのWANサービスを提供している。
一方、需要サイドでは、パブリッククラウドを早期に導入した大手コンテンツ事業者などのこうしたサービスに対する需要はすでに一巡しており、最近は一般企業の導入が増加している。
2016年~2021年の年間平均成長率は35.8%で2021年には246億円規模に
今後、同市場は、2016年~2021年の年間平均成長率35.8%と急成長が見込まれ、2021年の市場規模は246億円になると予測している。一般企業のパブリッククラウド利用は、利用企業数の増加だけではなく、用途も外部向けWebサイトなど限定的なものから、ミッションクリティカルなシステムへと広がっていく。
これに伴いより多くの回線が利用されるようになるとともに、接続回線に広帯域と高い安定性も求められるようになることが、パブリッククラウド接続用途WANサービス市場の成長を促進すると考えられる。
さらに、企業は今後、複数のパブリッククラウドを使い分け、これらに対して、企業拠点/データセンターからだけではなく、従業員のモバイル端末やパートナー企業といった多様な環境からセキュアかつ安定した接続を求めるようになる。また、パブリッククラウド上で提供されるアプリケーションの特性に応じて、回線や接続ルートの使い分けが進むと考えられる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏は「今後のWANサービスは、企業のパブリッククラウド接続の増加に伴って顕在化する接続元や接続回線に関する多様なニーズを柔軟に満たす必要がある」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内通信サービス市場予測、2017年~2021年:WANのクラウド接続の浸透」にその詳細が報告されている。また、WANサービスの市場シェアについては、「国内WANサービス市場シェア、2016年:WANのクラウド接続の浸透」で提供している。