財務・会計システムのクラウド基盤の利用率は次回更新時に12.5ポイント上昇へ
基幹業務ソフトウェアの導入環境については、オンプレミス(自社内サーバへのインストール)かクラウド基盤か、さらにクラウドに関しては、パブリックなクラウド基盤(クラウド事業者が広く一般の利用者に提供するAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどの基盤サービス:IaaS、PaaS)、自社以外のデータセンター(ITベンダーやデータセンター事業者のデータセンターを利用したプライベートクラウド等)に分けて質問をした。
財務・会計システムの現在のシステム導入環境は、パブリッククラウド4.7%、自社以外のデータセンター17.2%、オンプレミス65.8%となり、オンプレミスの利用比率が高く、約7割を占めた。一方で、クラウド基盤環境の利用率(パブリッククラウド+自社以外のデータセンター)は21.9%となった。
次に、財務・会計システムの更新及び導入予定のある企業に対して、次回システムを更新する際のシステムの導入環境を尋ねたところ、パブリッククラウドが10.0%、自社以外のデータセンター24.4%、オンプレミス47.8%となり、クラウド基盤環境の利用率(パブリッククラウド+自社以外のデータセンター)は34.4%まで上昇する見通しとなった。
このようにアンケート結果からは、財務・会計システムの現在の導入環境と次回更新時の導入予定環境では、クラウド基盤環境の利用率(パブリッククラウド+自社以外のデータセンター)が12.5ポイント高くなる一方で、オンプレミスは18.0ポイント下がるという結果となった。
ユーザ企業のクラウドサービス選択時にパブリッククラウドが有力な選択肢に
アンケート調査結果から、今後は財務・会計システムの導入・構築においてクラウド基盤がより積極的に採用されるようになり、その利用率は拡大すると推測する。クラウド基盤を利用するメリットには、IT資産を持たない優位性、システム構築期間の短縮、セキュリティの確保、スケーラビリティの高さなどが挙げられる。
これまでオンプレミス主体だった基幹業務システムにおいても、これらのメリットを享受するために クラウド基盤を活用したいと考える企業が増えていると考える。また、基幹業務システムの導入・構築においては、パブリッククラウドの利用意向も高い結果となった。
パブリッククラウドは、プライベートクラウドと比較して、コストメリットが高い、迅速に利用できる等の特徴がある。また、パブリッククラウドを提供する大手クラウド事業者は、高度なセキュリティやBCP(Business Continuity Plan)/DR(Disaster Recovery)対策などの面で、基幹業務システムの運用に適したサービスを提供している。
それに伴い、大手企業や大手金融機関などを含め、企業規模や業種を問わず基幹システムを含む業務システムにパブリッククラウドを採用する事例が増えており、利用は拡大している。ユーザ 企業がクラウドサービスを選択する上で、今後パブリッククラウドは有力な選択肢となる見通しである。
調査結果について詳細は、矢野経済研究所が発行したレポート「ERP/業務ソフトウェアの導入実態 2017」にまとめられている。