新しいブロックチェーン・クラウド・サービスは、FIPS 140-2 Level 4というハードウェア暗号化技術に準拠する暗号鍵によるデータ管理や、「IBM Secure Service Container」と呼ぶセキュリティーを有するメインフレーム・テクノロジーをベースとしたLinux専用エンタープライズ・サーバー「IBM LinuxONE」などの業界最高水準の技術で構成されている。
ブロックチェーン・ネットワークの参加者は、これらの技術を採用することで、マルウェアからの攻撃やなりすましなどの内部犯行によるデータ漏えい、改ざん、不正操作を防御できるという。また、日本IBMは、国内データセンターから「HSBN」を提供することで、国内での保有が求められている機密データの活用や保管が可能で、データの保管場所やプライバシーに関して高まる業界の課題に対応する。
「HSBN」は、取引履歴を保存し共有する「分散台帳」、取引ルールを規定する「スマート・コントラクト」、取引をシステム上で確定する「合意形成」、取引の安全性を確保および認証する「暗号技術」を提供する。これにより、特定の業界や団体単位でブロックチェーン・ネットワークを形成し、スマート・コントラクトと分散台帳を共有できるモデルの構築が可能だという。
IBMは、Linux Foundationのハイパーレジャー・プロジェクトのプレミアメンバーとしてオープン・テクノロジーを基盤とするブロックチェーン技術の開発を推進し、実用に向けた取り組みを世界各国で展開しているという。IBMのブロックチェーンは、ハイパーレジャー・プロジェクトが開発を進めるハイパーレジャー・ファブリックを採用して、企業が運用するオンプレミス環境向けアプリケーションに加えて、IBM Bluemixおよび「HSBN」のクラウド・サービスとして提供される。
また、日本IBMは、企業のブロックチェーンの実証実験や実用を視野に入れたアプリケーションの短期開発を支援するため、「HSBN」の提供と合わせて、「IBM Bluemix Garage」を提案する。「IBM Bluemix Garage」は、IBM自らの製品開発で確立したIBM Design Thinkingと呼ぶデザイン手法とグローバルの知見を用いて、顧客企業と共に新たな顧客体験を創出するためのワークショップの開催、プロトタイプ開発やユーザーテストによるアイデアの検証、IBM Bluemixを活用する高品質なアプリケーションの短期開発を支援するという。