減少期の2017年は799億円、前年比47.3%減の見込み
国内事業者DCの新設および増設投資は、拡大と縮小のサイクルを繰り返す。2016年は拡大局面にあたったため前年比76.7%増の1,517億円だったが、2017年は縮小期にあたるため、投資額は前年比47.3%減の799億円となる見込みだ。2018年になると、東京都内および大阪府内を中心に大規模なDC新設が複数予定されており、新設および増設投資は再び増加に転じるものとみられる。2018年の事業者DC新設/増設投資額は、前年比61.2%増の1,288億円となるとIDCでは予測している。
今回の予測では、昨年(2016年)4月の予測を上方修正している。昨年の予測では、建設コストの高騰によるDC投資の手控えが起こるとしていたが、建設コストは2015年後半から緩やかな下降傾向が続いている。これが追い風となって、DC新設/増設については積極投資に転じるDC事業者が増えている。今回の予測見直しはこうした動きを反映したものになった。
AIなどの利用に対応して、より大きな消費電力に耐える設備が求められる
国内の事業者DC建設投資を拡大させる要因として、DCの電力キャパシティの増大に注目すべきであるとIDCでは考えている。クラウドサービスの基盤として利用されるDCや、人工知能やディープラーニング(深層学習)といった新たなテクノロジーを利用したサービスを提供するためのDCでは、従来よりも大きな消費電力に耐えうるDC設備が求められている。
これによって、DC内に設置される電源設備や冷却設備に対する投資は大きくなる傾向にある。「データセンタービジネスにおける収益性は、面積当たりの収益力だけでなく、電力キャパシティあたりの収益力で評価することが重要になる」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内データセンターファシリティ市場予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。レポートでは、事業者データセンターだけでなく、企業内データセンター(金融機関、官公庁、製造業、サービス業などの一般企業の社内サーバールームなど)についても、調査結果をまとめている。