このシステムは、Key-Value-Storeやリングバッファの採用で処理能力を向上し、データの検索や更新の超高速化を実現する。また、IoT機器から出力される種類の異なる複数のデータを同時に処理し、一元管理できるマルチスレッドに対応することで、高度化する自動運転やロボットなどの制御アプリケーションの開発効率向上を支援するという。
さらに、自動車の機能安全規格であるISO26262の設計プロセスに準拠したエビデンスを提供することで、車載システムにおける規格の認証取得を支援するという。日立ソリューションズでは、9月1日からこのシステムの体験版をダウンロードできるサイトを公開する。
自動運転やロボットなどの高度化に伴い、制御ユニット上のアプリケーションでは、限られたリソースの中で1ミリ(0.001)秒以下の処理能力が求められている。また、制御ユニット上のアプリケーションは、センサーなど複数のIoT機器とのデータの受け渡しも必要となり、データの多様化・大規模化に伴うデータの整合性確保や、アプリケーション間の干渉回避といった課題の解決も求められている。
これらの課題を解決するため、日立ソリューションズは、組み込みデータベース「Entier」の開発で培ってきたノウハウを生かし、2016年10月に日立オートモティブシステムズと共同で、自動運転車向けのアプリケーション開発を効率化する「自動運転ECU(Electronic Control Unit)プラットフォーム」を開発した。今回のシステムは、「自動運転ECUプラットフォーム」に採用された組み込みデータベースを汎用化したものになる。
■「Entier インメモリデータベース管理システム」の特徴
- Key-Value-Storeやリングバッファの採用で、数十マイクロ秒の高速なデータ検索・更新を実現
- マルチスレッド対応で、制御アプリケーションの開発効率向上を支援
- 100キロバイト程度のプログラムサイズで、リソースが制限されたエッジデバイスなどに適用可能
- 自動車機能安全規格ISO26262の取得を支援