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DB Online座談会 in 日本オラクル(AD)

Oracle Database Standard Editionユーザーが次に選ぶべきDBはどれだ?!《後編》

 前編では、小規模ユーザー向けライセンスがOracle Database Standard Edition 2(以下、SE2)に一本化されたことを受け、とりわけ日本国内で広く利用されてきたOracle Standard Edition(以下、SE)およびStandard Edition One(SE1)のユーザーがにどのような選択をしているかについて、座談会の出席者であるエンタープライズ データベースのエキスパートから、さまざまな話・意見が出てきた。この後編ではエキスパートの視点から、他のデータベースに移行する場合のコストをはじめ、どの点をどのように検討すべきかの議論へと進んだ。

座談会の《前編》はこちらから

ゲスト(順不同)

  • 岸和田 隆氏(株式会社アシスト)
  • 渡部 亮太氏(株式会社コーソル)
  • 桑内 崇志氏(日本オラクル株式会社)

司会

  • 谷川 耕一氏(DB Online チーフキュレーター)

ライセンス料以外のコストが移行のハードルを上げていく

谷川 耕一氏(以下、谷川):この記事の前編では、SE/SE1から他のデータベースに載せ替える場合、移行のためのイニシャルコストが高くなるというお話でしたが、具体的にどんな原因があるのでしょうか。

渡部 亮太氏(以下、渡部):やはり、テストですね。一般論になりますが、今はデータベース移行のための転換ツールも多数リリースされていますし、もともとデータベースとして複雑に作り込んだりしているとトラブルが起きやすいが、シンプルに使っていれば比較的安全といったことも経験則としておおよそ見えています。とはいえ、やはり移行にあたってはテストを実施しないわけにはいかないので、結果としてトータルの工数が膨大にならざるを得ません。

渡部 亮太氏
渡部 亮太氏(わたべ りょうた)氏
株式会社コーソル 技術統括
製品サポートを経験したのち、ORACLE MASTER Platinum取得者数No.1に向けた技術者育成、Exadata向けリモート監視・リモートDBAサービスのビジネス拡大などに携わる。日本に8名しかいないOracle ACEの一人で、Japan Oracle User Groupの共同創設者、ボードメンバーでもある。著書・講演・執筆記事多数。

谷川:同じくそのあたりについて、岸和田さんはどうお考えでしょう。

岸和田 隆氏(以下、岸和田):同感ですね。たとえばプロシージャの作り込みを、どのレベルまで行っているか。もし対応できない部分まで深く作りこんでいると、それを移行の際にどこで吸収するかという問題が出てきます。Oracleのプロシージャに含まれている部分を、他の言語で置き換える場合など、その部分のデザインが変わってくるので、すんなり移行できるかどうかは未知数です。要するにデータベース移行と一口で言っても、お客様のアプリケーションの作り方次第でその難易度が大きく左右されるわけです。

谷川:移行対象のデータベースがアプリケーションの一部だったりすると、やはりテストは相当のボリュームになりますよね。また、たとえばRACを構築していたり、たとえSEでも特定の機能を使い込んでいたりすると、他社のデータベースには移行しにくいかもしれません。

渡部:そういう点では、Materialized Viewが好きなお客様は、この機能をひんぱんに使う傾向があるので、なかなか他に行きにくいでしょうね。細かい話ですが。

岸和田:Oracleに依存している機能を多用していればいるほど、当然ながら移行は難しくなってきます。もし移行を検討する場合は、まず自社での使い方にそうした特定の傾向がないか棚卸ししてみるのもよいと思います。

移行の見積もりではデータベース周辺にも十分に注意を払う

谷川:移行のハードルを上げる要因として、ハイアベイラビリティ(HA)構成などはどうでしょうか。運用の仕方などが変わると思いますが。

岸和田:HA構成そのものは何とかなりますが、デザインが変わると思います。移行先がPostgreSQLなどだと、Oracle Data Guardと同様な機構のレプリケーション構成を取り、その上にスイッチングするミドルウェアを入れて切り替えるような仕組みになります。そのため、RACのように残存ノードで処理を継続するという可用性を簡単に提供することはできません。アプリケーションのデータを複数のDBに分散配置するデザインなども検討する必要が生じてきます。ただ、移行はデータベースだけの問題なので、他のWeb層やアプリケーション層も含め、全体としてどう見せるかを考えれば十分に可能だと思います。

株式会社アシスト 岸和田 隆氏
岸和田 隆(きしわだ たかし)氏
株式会社アシスト データベース技術本部 ビジネス推進部 部長
OracleDBの研修講師、フィールド技術、製品検証担当を経て、2007年 自社ブランド「DODAI」の準アプライアンス製品の企画・開発。その後、ODA、Exadataを含む新製品の立上を担当。現在「データベースのアシスト」を目指した活動に従事。

渡部:他には、多数のユーザーによる多種多様なクライアントからのアクセスを受けているデータベースの移行は大変になりがちです。しかも言語がそれぞれ異なっている場合は、相当な苦労を覚悟することになります。

谷川:それは想像するだけでも大変ですね。エンジニアの側も相当に幅広いスキルを持っていないと、完璧な対応は難しいでしょう。

渡部:クライアントアプリケーションを含めたシステム全体で考えると、単にOracleのデータベースをバージョンアップするだけでも、なかなか大変な作業です。Oracleのバージョンを上げたいけれど、このクライアントがまだ対応していないとか。Oracle単体のバージョンを上げるだけだから楽勝だと思っていると、クライアントを見逃しているケースは意外に少なくありません。

谷川:Oracleはいろいろなものに対応できる分、アプリケーションを構築する分には有利だけれど、それがバージョンアップの時には難易度を上げてしまうことがあるわけですね。

企業がOracle SE/SE1を選んだ本当の理由はコストなのか

谷川:この座談会も始まりは、SE2への一本化でSE/SE1ユーザーはこの先どうするかといったシンプルな発想からでしたが、ここまでいろいろお話を伺ってみると、決して「Oracleにとどまるか、他に移るか」というような単純な問題ではありませんね。ユーザー企業自身のアプリケーションの考え方や、データベース活用の根本的なポリシーといったところから、きちんととらえ直していくべき重要課題だと思いますが、皆さんはいかがでしょう。

岸和田:そもそもOracleユーザーが基幹システムのデータベースにOracleを使っている理由は、価格ではないと思います。信頼性や安全性、基幹業務で安心して利用できるデータベース機能と実績を持っているという事実。すなわち、エンタープライズデータベースとしてのブランド価値が非常に大きいと思います。極端な話、「Oracleなら間違いがないし、Oracleで失敗するなら世の中のどのデータベースを使っても同じ結果だ」くらいの感覚で選んでいるんじゃないでしょうか。

谷川:そうだとすると、SE2も含めてOracleデータベースの使われ方がこの先どうなっていくか考える場合、ありがちなコストだけの議論をしてもあまり意味はありませんね。

谷川 耕一氏
谷川 耕一氏(たにかわ こういち)氏
EnterpriseZine/DB Onlineチーフキュレーター。
ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

岸和田:そう思います。データベース製品がどれもある程度のレベルに達して成熟している今こそ、もう一度データベース選びのあり方を見直す本質的な議論の時期に来ているのではないでしょうか。特に最近、次代のプラットフォームとしてクラウドが注目を浴びているのも、単にコストが安いからだけでなく、利便性などの面で評価があるからこそと思います。

谷川:なるほど、たとえばクラウド移行で自社データセンターが不要になれば、その分のコストをもっと新しい成長の原資として振り向けられるようになりますね。そして、それは単なるコスト削減効果ではない。新しい成長の可能性ですね。

岸和田:そう考えると、今後もOracleが選択され続ける条件は、果たして単にコストの問題なのだろうか?と私は考えています。

谷川:今日の座談会も、最初はコストという切り口から入ってきました。たしかにSE/SE1ユーザーの場合、コストは重要な評価ポイントの1つなので、SE2への一本化の議論もそうなりがちです。しかし一番がコストだというなら、なぜ最初の導入のときにMySQLではなく、あえてOracle SE/SE1を選んだのか。もっと根本的な部分まで踏み込んで考えるには、そこまで知るべきですね。

岸和田:前章でも触れましたが、やはり基幹システムでも確実な稼動を保証する高信頼性・高可用性という、エンタープライズ製品としてのブランディング。アーキテクチャ的にも、最上位グレードのEEと同じカーネルを持ち、中堅企業の基幹システムや大企業のサブシステムでも大丈夫という安心感。こうした他のデータベース製品がなかなか超えられない部分があるからこそ、やはりOracleを選ぼうという判断をされたのだと思います。

ユーザーのメリットを主眼にした視点からのデータベース選びを!

谷川:ここまでを振り返ってみると、企業が自社の成長戦略を実現するためにデータベースを選ぶ上で、これからはもっと広い視点が必要かなと。ちょっと前までは「どれが高性能で信頼性が高いか」で比較して、一番のデータベース製品を選べばよかった。しかしこれからは、アプリケーションやその使い方~運用や活用のあり方までも含めて議論し、トータルに判断していく必要があります。ユーザーにとっては、なかなか一筋縄ではいかないデータベース選びになりそうですね。

桑内 崇志氏(以下、桑内):そうした状況を反映しているかわかりませんが、今年の夏以降、Oracleのクラウドのトライアルを希望されるお客様が急速に増えてきているんです。また当社が開催している技術セミナーの出席者にアンケートをとると、Oracle Cloudの使い方について知りたいというのが最近特に目立ちます。クラウドのプラットフォームもいろいろ出そろってきた中で、他のクラウドとどう違うのか試したいという意向が、お客様の側からはっきりと伝わってくるようになりました。

桑内 崇志氏
桑内 崇志氏(くわうち たかし)氏
日本オラクル株式会社 Cloud Platformビジネス推進本部 ビジネス推進第2部 部長
日本オラクル入社以来、一貫してテクノロジー製品の製品技術および販売推進に携わる。現在はデータベース製品を中心にセキュリティや運用管理製品およびクラウドの販売推進を担当。

谷川:攻めのITというようなことがしばしば言われますが、そのレベルになるとコストでライセンスを選ぶのではなく、次に起きることやそれに対して何ができるかを考えて、その目的にあったライセンスを選択するといったアプローチに変わってきます。おそらく急にクラウドに注目が集まっているのも、そうした企業の変化の延長線上にあるのでしょうね。

岸和田:たしかにその通りですが、それでも私たちのビジネスとしては、やはり最終的にトータルコストという視点に戻ってくるのです。当然Oracleのコストという時も、それはTCO(運用まで含めたトータルコスト)という物差しで計ることになります。というのも、サービスの値段やソフトウェアの値段だけを見るとオープンソースソフトウェア(OSS)を使えば当然安くなるのですが、SE/SE1からの移行となると、前にも触れたようにテストなどのいろいろな周辺のコストが発生してくるわけですね。そこを含めた最終的な合計=トータルコストで検討しないと、お客様に正確な判断をしていただけないからなのです。

谷川:渡部さんのところではライセンス販売をなさっていませんが、やはりそうした方向に最近は視点がシフトしてきているとお考えですか。

渡部:エンジニア的な考え方でいくと、個々のデータベースとかツールではなく、総合的な視点から良いものを選んでお勧めしようという発想になります。注目のクラウドにしても、まずプラットフォームありきではなく、そのお客様にとって必要だと判断すれば、データベースは王道であるOracleを使って、クラウドを組み合わせて、ユーザーにとっての最適解をクラウドベースで考えましょうというアプローチも十分あり得るし、お客様にとっても興味を引く提案になると思います。

桑内:クラウドでは数多い選択肢の中からもっともお客様に適したものを選択し、採用するという時代になっていることは、私たちも十分に認識しています。そうしたニーズに応えるためOracle Cloudについてもコスト面のメリットにとどまらず、システムの事前テストやデータ分析などの活用のユースケースを提案させていただき、多くのお客様での実績も整ってきました。これからクラウドをベースに次のデータベース、次のシステムをご検討される企業には、Oracle Databaseの資産を活かしながら価値あるデータ活用を実現できるOracle Cloudが有力な選択肢になると考えていますし、実際にご検討に加えていただけると嬉しく思います。

谷川:導入コストだけでなく、ユーザー企業の成長や新たな展開のためのデータベースは、従来のデータベースにとどまらないトータルメリットや活用に着眼して選ぶべきだということですね。本日は長時間にわたり、貴重なお話をありがとうございました。

この座談会は、東京・港区にある日本オラクルの本社ビル最上階の奥に建てられている茶室「聚想庵」で行われた。マインドフルネスにもよく効きそうなたたずまいである
この座談会は、東京・港区にある日本オラクルの本社ビル最上階の奥に建てられている茶室「聚想庵」で行われた。マインドフルネスにもよく効きそうなたたずまいである

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