「データベース概論」で正規化の美学に心酔
筆者にとって石井さんへの取材は今回で2度目。前回からほんの1年しか経っていないのに、少し大人びた印象を受けた。石井さんは新人入社した春のデータベーススペシャリスト試験に合格するほど、早くからデータベースの知識は一流。現在はデータベースのガチなプロフェッショナルがひしめくNTTデータで経験を積んでいる。これまでの道のりを訊いた。
世代的にはデジタルネイティブ。高校生のころからブログを使い始めた。次第にアクセス解析やテンプレートのカスタマイズなど、仕組みの方に興味が向いていく。大学の専攻は管理工学。大学3年生で受講した「データベース概論」がデータベースとの運命的な出会いとなった。授業で石井さんはデータベースの正規化にいたく感銘を受けた。心酔したと言っていい。「正規化に美学を感じました。なんて美しいんだろうって」と力を込める。きっちりかっちり、合理的であるところに惹かれるようだ。
そのままデータベースに関係した研究室を選びたかったものの、所属の都合でかなわなかった。しかしデータベースへの熱意は消えず、データベーススペシャリスト試験を目指した。とはいえ、難関試験である。最初の受験では試験開始して間もなく「帰りたい」と思うほど刃が立たなかったそうだ。
大学の研究室ではサーモグラフィーで測定した発熱量データからストレスを数値化するといった研究を修士まで続けた。同時にIT企業でインターンとしてバイトもした。「プログラミングの実践力をつけたかったので」と石井さんは言う。バイトの経験もあり、VPS(仮想専用サーバー)を借りて、Webアプリケーションフレームワーク「CakePHP」などを使えるようになっていた。
卒業後はインターンで働いていた会社には進まなかった。インターンの会社が小規模だったためか、就活では大規模システムを扱う会社を探した。NTTデータはその条件に加えて「OSSにも力を入れていることや技術者が多くいるところ」にひかれ、最終的には「フィーリング」で決めた。大きな決断においては直感も大事。