
Microsoft SQL Server 2017がLinuxに対応との話を耳にしたときには、いよいよ時代も変わったと思った。とはいえさすがに疑心暗鬼なところもあったのも事実。結果的には無事に2017年10月、SQL Server 2017 on Linuxは一般公開へとこぎ着けた。大きな英断をしたマイクロソフト、このLinux版SQL Serverの狙いはいったいどこにあるのだろうか。
SQL Server 2017は近年でももっとも大きな更新
MicrosoftのSQL Server on Linuxの主席エンジニアで、チーフプリンシパルプログラム マネージャーのトラビス・ライト氏は、SQL Server 2017はLinuxに対応するだけでなく、広範な言語、データタイプ、プラットフォームに対応するようになった製品だと言う。その上でTPC-HのベンチマークでもNo1の記録を出しており、セキュリティ面でも今や業界トップクラスの安全性を誇るものになっている。実際セキュリティインシデントの数は、主要なデータベースと比べても過去7年間の間で一番少なかったのがSQL Serverだと自信を見せる。

SQL Server on Linux 主席エンジニア チーフプリンシパルプログラム マネージャー
トラビス・ライト氏
SQL Serverについては、機械学習機能をデータベースの中に取り込んでいるのも特徴だ。これはSQL Server 2016での拡張。「R言語を使えるようにし、当時の取り組みとしては世界初のものです。2017ではPythonを使えるようにして、ネイティブなT-SQLやGPUにも対応しました。これらの仕組みはかなりユニークなものだと思います」(ライト氏)
広範なプラットフォームとしては、LinuxだけでなくDockerにも対応した。これらにより、オンプレミスかクラウドかに関わらず、もっとも一貫性のあるプラットフォームの選択肢を、顧客に提供できるようになったのだ。「これはマイクロソフトがAzureで選択肢を増やしている戦略の一部でもあります」とのこと。
今回のSQL Server 2017は、近年ではもっとも大きな更新になっている。すでにプライベートプレビューだけでも2万人以上の人たちがSQL Server 2017に触れている。SQL Server 2017で加えられた数々の機能更新は、マイクロソフトが独自に考え実装したわけではなく、顧客からの要望があったからこそ装備されたものだ。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア