アズジェントによると、協業の背景はIoTの普及や機器のデジタル化、モバイルペイメントの普及など、モバイルアプリケーションで多くの機能を提供する動きが高まっている一方で、リバースエンジニアリング等による違法使用、プログラムの改ざんによる機密情報の漏洩といったリスクも増加。モバイルアプリケーション開発企業はクラッキングを防御し、安全なアプリケーションを利用者に届けることが求められているからという。
記者会見に登壇したアズジェント ビジネス開発部長の下和田豊氏は、「従来、サイバーセキュリティはインフラに注力してきたため企業内インフラへの攻撃は難しくなった。その一方で、モバイルバンキングやモバイルペイメントといった企業の重要なサービスを司る価値あるアプリケーションは危険にさらされている」と指摘。同氏によると、アプリケーションの改ざんや構造などを解析されることで個人情報の流出やIP盗用、認証情報の盗難などのリスクが想定されるという。さらにアプリケーション解析ツールは無償でも多数出回っており、「企業の価値あるアプリは野放し状態になっている」と続けた。
Arxanは、米国防総省の防衛技術を保護するため、2001年に設立。同社のソリューションはアプリケーションそのものをクラッキングやリバースエンジニアリングなどのリスクから保護するというもの。現在、世界各国の銀行や医療機器メーカーなど多業種で500組織以上の顧客、10億件以上のアプリケーションが導入されているという。
両社は、4月中旬からモバイルアプリケーションのコード堅牢化ソリューション「GuardIT」、「EnsureIT」や、暗号鍵の秘匿化をする「TransformIT」、モバイルアプリケーション配信プラットフォームサービス「APPERIAN」などを販売する。
Arxanが提供するソリューションは、アプリケーションを開発する際に、バイナリコードを難読化するとともにプロテクトコードを挿入。バイナリコードを難読化することで解読を困難にさせるだけでなく、プロテクトコード同士が相互監視を行うため、改ざんが行われた場合、アラートを出し、アプリケーションの処理を停止させるといった対応が可能となる。よって知的財産の流出、アプリケーションの改ざんなどからアプリケーションを保護できるという。さらに、アプリケーション内の暗号鍵を秘匿化することにより、暗号鍵の流出を防ぐ。
モバイルアプリケーション配信プラットフォームサービスでは、企業内アプリケーションを従業員がダウンロードする場合などど、プライベートなモバイルアプリケーションを特定のユーザへ配信するプラットフォームを提供。従業員のBYODでMDM(Mobile Device Management)を導入できないユーザにも、MAM(Mobile Application Management)として使用することで自社のアプリケーションの導入・保護が可能となる。