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次代を見据えたIT戦略――DeNAのAI活用事業を支えるIT組織とは?


 DeNAのIT戦略部部長を務める成田敏博氏は、2018年4月にガートナーインフラストラクチャー、オペレーション・マネジメント&データセンターサミット2018に登壇。同社のビジネスおよびコーポレートの両面におけるIT戦略を語った。

技術力やパートナーリング力、事業化能力を持つDeNA

株式会社ディー・エヌ・エー 経営企画本部 IT戦略部 部長 成田 敏博 氏

 成田氏は、アクセンチュアで約13年間公共機関向けのコンサルティングに従事した後、約5年前にDeNAに入社した。全社基幹業務システムの刷新プロジェクトに参画し、2年前からはIT戦略部部長の立場でDeNAの全社システムの戦略立案から企画・構築・運用を統括している。

 DeNAの現在のコーポレートビジョンは、「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」。インターネットを事業の主要なエンジンとしてきた同社。昨年から「AI」をもう一つの主要なエンジンとして採用している。また、同社の事業は、ゲームが主力であることに変わりはないが、最近ではオートモーティブやヘルスケア、スポーツ分野にも力を入れている。

 成田氏は「DeNAの強み」を「インターネットに加えてAIの技術力がある」、「いろいろな会社や官公庁と組むパートナーリング力がある」、「多種多様な事業を構築して進化させていく事業化能力がある」と語った。

DeNAの強み 出典:DeNA講演資料

AI事業の主要エンジン化と支柱となるIT組織

 また、有力な協業先とタッグによるAI事業戦略を解説。「AI事業のエンジン化に注力している」と語った。オートモーティブやヘルスケアなど、主なAI事業は以下の通り。

オートモーティブ事業
事業 事業内容
次世代交通サービス "Easy Ride" 日産自動車との協業。2018年3月に横浜みなとみらい地区で実証実験中。ドライバーが座っているがハンドルは握らない状態で公道を自動運転している。こちらでもスマホから行き先を設定・簡単に操作できる工夫を取り込み中。
タクシーの需要予測"タクベル" 2018年4月、神奈川県タクシー協会と協業して、乗客用アプリとドライバー用アプリを提供開始。乗客用アプリではスマホから簡単にタクシー呼出しができる。ドライバー用アプリは年内に乗客の需要を、気象条件・イベント情報・公共交通機関情報などをもとにAIで導出提供するアプリに仕上げる予定。
スマートキーによる無人レンタカーサービス JR東日本と協業、DeNAが3年前から提供しているAnycaというカーシェアリングサービスにスマートキーを組み合わせて無人レンタカーサービスにする取り組みを実証実験中。
自動運転バス “Robot Shuttle” 3年前から国土交通省はじめ様々な団体とタッグを組んで、現在、運転手のいないバスを走らせる実証実験中。(栃木県の道の駅間、大分市、横浜市、九州大学、秋田県田沢湖等)長距離ではなくラストワンマイルを手軽に安全にというコンセプトの取り組み。
ヘルスケア事業
事業 事業内容
遺伝子情報検査サービス "MYCODE" 東京大学医科学研究所と4年前からラボを組んで進めている。専門の技官が行う必要のある遺伝子検査をご家庭で手軽にできるようになることを目標に据えている。
AI創薬技術の実証実験 2018年1月にプレスリリースされたばかり、旭化成ファーマ、塩野義製薬とDeNAが協業するスキームで取り組んでいる。マシンラーニングのAI技術で創薬プロセスを大幅省力化すべく取り組み始めたところ

 さらに、スポーツ分野でも、横浜DeNAベイスターズや横浜DeNA ランニングクラブのアスリートのパフォーマンスを向上させるため、VRシミュレーショ機械学習を活用した施策を推進している。

 その他の分野では、ゲームパラメータのチューニングの高速化、SNSコミュニティを盛り上げるAIチャットボット、ライブコマース動画の自動解析などにAIを取り入れている。自社の社員食堂 Sakura Cafeの入り口の動画を撮影・蓄積し、人物の属性・行動パターンの動画解析を行っているという。

次のページ
AIシステム部とAI戦略推進室によるAI施策の推進体制

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