2017年はWindowsがシェア52.0%でCAGR3.9%、Linuxはシェア24.8%でCAGR13.5%
2017年の国内サーバーオペレーティングシステム市場は782億7,100万円、前年比成長率が4.3%となった。稼働環境別の構成比では、Windowsが52.0%を占めており、前年比成長率は3.9%となっている。
Windowsは、大手企業のプライベートクラウドやクラウドサービスプロバイダーなどの大規模データセンター向けの販売が堅調。Linuxは、構成比が24.8%、前年比成長率が13.5%と非常に高い成長を達成した。2016年も11.5%の前年比成長率となっており、二桁成長を維持している。Linuxは、企業のWebシステムから基幹業務向けシステムまで幅広い領域で採用されており、底堅い需要がある。
さらに、クラウドサービスのIaaS(Infrastructure as a Service)において構築されるシステムの多くがLinuxを採用しており、IaaSからのLinuxディストリビューション売上が増加していることが高い成長の要因になっている。
レッドハットはLinux市場の83.1%のシェアを有する
2017年のベンダー別売上額シェアでは、Windowsを提供しているマイクロソフトが52.0%のシェアを有している。Linuxディストリビューションを提供しているレッドハットの売上額は前年比成長率が14.5%、シェアでは20.6%を獲得した。レッドハットはLinux市場だけで見ると83.1%のシェアを有しており、Linux市場の成長を牽引している。
国内サーバーオペレーティングシステム市場の2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、2.5%になるとIDCでは予測している(図1)。Windowsの同CAGRは2.0%と予測している。
Windows Server 2008のサポート終了では2018年から2019年にかけて更新需要が発生
2020年1月にマイクロソフトからのWindows Server 2008のサポート終了(EOS:End of Support)が控えているため、2018年から2019年にかけては更新需要が発生するが、2020年以降はほぼ横ばいで推移するとみている。
IDCがWindows Server 2008を使用している企業に実施した調査(図2)によると、現時点で66.0%がWindows Server 2016/2012への移行を計画していると回答している。Windows Server 2003のEOSの時は、サポート終了間際で移行の駆け込み案件が多く発生したが、Windows Server 2008では余裕を持って計画的に移行する企業が多いと予想できる。
Linuxの2017年~2022年のCAGRは8.9%となり、稼働環境別の構成比では2017年の24.8%から2022年には33.5%にまで拡大するとIDCでは予測している。企業の基幹業務系システムでの採用を中心にオンプレミス環境での安定した成長が継続するとみている。
さらに、「オンプレミス環境からクラウドサービス上へシステムを移行するLift & Shiftプロジェクトを始め、今後IaaS上で業務システムを構築する企業がさらに増加する。それに伴い、IaaSでのLinuxインスタンス(特にサポートが付いた商用ディストリビューション)の稼働の増加がさらなるLinux市場の成長を後押ししていくであろう」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は述べている。
一方、UNIXとメインフレームはハードウェア出荷が減少傾向にあるため、サーバーオペレーティングシステムの売上も減少傾向が続くとみている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内コンピューティング/ネットワークインフラストラクチャソフトウェア市場シェア、2017年:クラウドの拡大がOSSを加速」「国内コンピューティング/ネットワークインフラストラクチャソフトウェア市場予測、2018年~2022年」「2018年 国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場 ユーザー動向調査」にその詳細が報告されている。