マルウェアの検出状況に大きな変化
石川氏はまず、2018年上半期のマルウェア検出状況について説明した。このデータは、同社が提供するセキュリティ対策ソフト「ESET」の日本国内のユーザーからのフィードバックに基づいたもの。これによると、マルウェアの検出数は2017年下半期から約半数に激減している。形式別でみると、すべての形式で検知数が減少しているが、特に「VBS(VBScript)」が大幅に減少している。VBSは前半期まで、「Locky」や「GlobeImposter」のダウンローダーとして多く検出されていた。
同半期に最も多く検出されたマルウェアの形式は、前半期と同様に「JS(JavaScript)」であったが、その内訳も大きく変化している。特に、コインマイナー(仮想通貨のマイニングを行うスクリプト)である「JS/CoinMiner」が前半期比330%、リダイレクター(別のサイトに強制的に誘導するスクリプト)である「JS/Redirector」が前半期比270%と、大きく増加した。一方で、ばらまきメール型でランサムウェアに感染させようとする「JS/Danger.ScriptAttachment」は前半期比でわずか2%と激減している。
検出名では、最も多かったのは「VBA/TrojanDownloader.Agent」であった。これは、「発注書」や「請求書」などの件名のメールで拡散するExcelファイルに仕込まれているもの。日本では3月15日、5月15日および16日に突出して確認されており、現在でも継続して検知されている。世界的に見ても、日本が34%と最も多く、2番目に多いイタリアとポーランド(ともに11%)を合わせると全体の半数を超える。
検出名で2番目に多かった「JS/CoinMiner」は、1月26日と2月13日にピークがあった。世界的に見ると日本は2%と12位であるが、あらゆる国で検知されている。3番目に多かった「HTML/FakeAlert」は、“まとめサイト”などから誘導されるWebページで、PCやスマートフォンに「ウイルスに感染しています」などの偽の警告画面を表示する。
この画面には偽のウイルス対策ソフトへのリンクやサポートへの電話番号が記載されており、これらに誘導することでさらなる被害をもたらそうとする。偽の警告画面は、さまざまな言語が確認されており、音声を再生するパターンもあるという。世界的に流行しており、日本は11%で3番目に検出が多かった。