1987年に世界で最初に見つかった悪意のあるコードは、それほどの悪さをするものではなかった。しかし状況はその後の30年で大きく変わり、さまざまな重大なインシデントが日々発生している。世界中に広がる攻撃により、ビジネスが停止することもある。これらの脅威は人々の生活にも影響しかねず、たとえば発電所が攻撃され広範囲に停電が発生すれば日常生活を継続できなくなると語るのは、ESETのCEO リチャード・マルコ氏だ。
イーセットジャパン設立、キヤノンITソリューションズの総販売代理店体制は維持
ESETでは、さまざまな脅威に対応する製品やサービスを、200ヶ国以上に提供している。従業員数は世界で1,600名を超え、世界中の6億以上のデバイスでESETの製品が動いている。製品はESETが直接販売するものもあれば、パートナー経由で提供しているものも多い。たとえばGoogle Chromeでは、「Chromeクリーンアップツール」がESETの協力で提供されている。
日本はこれまで、キヤノンITソリューションズが総販売代理店としてESET製品の販売を行ってきた。国内に支社などは置いてこなかったが、今回新しいセンターを東京にオープンする。「これは大きなステップとなります。もっとも影響力のあるセンターの1つになるでしょう」とマルコ氏。ESETはここ20年順調に成長していおり、5億4,000万ドルまで売上を拡大している。製品開発にも継続的に投資しており、コンピュータだけでなくIoT対応にも力を入れており、成果として今年の初めにはスマートTVにも対応した。
ESETは市場の他のリーダー企業よりも高い成長率があり、この成長をさらに続け現在4位のセキュリティ・ソフトベンダーの国内マーケットシェアでまずはトップ3に入ることを目指す。国内でシェアを上げていくためにも、サポート体制、セキュリティ課題にどう対処するかのソリューション提供、フォレンジックやコンサルティングサービスも必要になる。これらを強化するために新たに東京オフィスを設置し、パートナーと一緒にビジネスを強化する。
東京にイーセットジャパンを設立するが、キヤノンITソリューションズが総販売代理店である体制に変わりはない。キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏は「2002年にESETとの素晴らしい出会いがあり、そこから一緒にパッションを持って取り組んできた。これからはさらに高いステージに上がっていきたい。そのためにもしっかりとタッグを組んでいきます」と語る。
キヤノンITソリューションズは、2003年からESETの国内総販売代理店として活動している。アンチウィルスソフトの販売だけでなく、SI会社としてESETを中心に導入前後のフォローを行ってきた。ESETに関しては顧客満足度も高く、国内シェアは4位だが市場成長率よりも高い12%の平均成長率がある。今後は新たな体制でシェア3位、2位を目指すと足立氏は自信を見せる。
今後の取り組みとしては、PC、サーバーのウィルス対策ソフトを中心とするが、セキュリティ対策が企業の経営課題になっていることもあり、キヤノンITソリューションズとしては包括的なセキュリティソリューション、サービスを提供していく。今後は製品販売だけでなく、運用、監視、最終的にはコンサルティングのサービスも実施できるようにし、トータルなセキュリティソリューションを迅速に顧客に提案していく。
そのような中でのイーセットジャパンの設立は、スピーディーにタイムリーにソリューションを提供することに貢献する。日本の脅威動向もきちんと把握し、それをESET本社に的確に伝えることでスピーディーに製品に反映してもらう。また、最新の脅威に顧客が対応できるようイーセットジャパンと脅威情報の共有もしっかりと行い、情報発信も強化する。