(登壇者)
- 日本オラクル:小田圭二氏
- アシスト:関俊洋氏
- DB Onlineチーフキュレーター:谷川耕一氏
開発から、運用から、それぞれの入り口からのキャリアアップ
谷川:開発者側から入って、なかなか10年経っても先程のスキルアップはできないみたいな調査結果もありましたけど、とはいえそういうところから入った時に、どうスキルアップしていけばいいのかっていう観点で、まずはちょっと話ができればなと思います。関さんは開発サイドからアプローチすることが多いと思うんですけど、その中でDBのエンジニアとしてスキルアップしていくって考えた時に、どんなところから入るのが入りやすいですか?
関:インフラから始まったエンジニアと、開発から始まったエンジニアの決定的な違いって、DBをどう見ているかなんですよ。たとえばインフラ。私は思いっきりインフラから入った人間なので、DBに対するすごいこだわりを持っているんですけど、アプリの方から見たら「それってデータを出し入れするだけのただの器だよね?」みたいなふうに、ばさっといかれちゃうこともある(笑)。その器を作るためにどれだけ苦労してるかっていうのが、アプリの方には伝わらない。インフラ基点かアプリ基点、キャリアがどっちからスタートするにしろ、DBっていう器に対する考えって、絶対、相反するところがあります。なので、私はどちらかと言うとインフラの人間と話をすることが多いんですけど、アプリの方がもしDBに今後深く携わっていくとしたら、今お持ちの視点が別の立場から見た時にどう変わるのかを意識して頂けると、すごく面白くなるし、周りのいろんな人と楽しく、いろんな仕事ができるんじゃないかなって気はします。
谷川:小田さんは開発から入るのは先程、難しいって話はちょっと結論づけちゃいましたけど、とはいえそういうエンジニアたくさんいると思うんですけども、どうアプローチすればよいか、アドバイスできますか?
小田:アプリから入るのも実は大事だと思っています。全員がインフラのDBから入らないほうがいいのかなと。理由は、アルゴリズムとコーディングは、やっぱりアプリ側にいたほうがすごくスキルは伸びるんです。どうしてもプログラムを書いたことがない人って、ある程度までいくと、壁に当たることがあって、それってプログラム書いてればすぐわかることなのになっていうふうに傍から見て思う時があります。私は実は最初、数年間だけですけど、プログラムを書いていた時期があるので、そこら辺のアルゴリズムを知っているってことの価値っていうのはあると思います。アルゴリズムからDBの処理をみていくといいのではないでしょうか。
谷川:逆に運用から入ってくるエンジニア、DBエンジニアのスキルアップを考えた場合は、何をより注力してくと、早めに一人前になれそうですか?
小田:運用から入る場合は、まずはインフラ全般、OSやストレージやネットワーク、あと一番早いのはトラブルを経験することですね。トラブルって、マイナスなイメージがあるじゃないですか。でもトラブルが少ない現場も意外とスキルが伸びないんですよ。なぜなら、トラブルがあると学ぶことが多いからです。とある現場のマネージャーさんが「最近トラブルが減ったからスキルが伸びないんだよね」みたいなことを言っていたくらいです。
谷川:今のお話、関さんどうですか?
関:私もDBエンジニアとしてトラブルの現場にいっぱい出させていただきました。2年目の時だと思うんですけど、お客様先で壊れたOracleの前に1人で座らせられるっていう(笑)。時間は2日間あると言われました。今では笑って話せますが、いろんな経験を積ませてもらったなと。トラブルが起きると何がいいかって言うと、お客様、ユーザーさんのビジネスのインパクトや状況がわかること。これが動かないことによってビジネスインパクトがどうなるか。それからその会社の現場の方の力関係もわかる。困っているのはたぶんインフラの方で言われてるんだろうな、と。じゃあ言ってる人は誰かって言うと「業務部門のこの人だよね」とか、「この人も一緒に悩んでくれてるね」とかですね、いろんなシステムの周りの関係性とかですね、お金の動きとかも見えてくるので、そういう全体俯瞰という意味では、トラブルって言い方は悪いですけどけっこうトリガーとして、経験としてはありなのかなっていう気がします。