「Fusion AppsとNetSuiteを合わせれば、クラウドERPの世界では圧倒的なNo1です」とエリソン氏。これら2つのSaaSは最初からクラウドで動かすことを意識し設計、構築されたもので、2つのクラウドERPの顧客数は2万5000を越えている。また、HCM(Human Capital Management)クラウドの領域でもOracleはNo1だとエリソン氏。さらにカスタマー・エクスペリエンスのクラウド領域では、Salesforce.comに次いで2位のポジションにある。そして「Fusion Appsは、SAP S/4HANAよりも機能は遙かに多い」とエリソン氏は主張する。
SaaSのデータベースはOracle Exadataで顧客ごとに別々に割り当てられている
「OracleのSaaSを利用する多くの顧客が成功しています」と言うのは、アプリケーション製品開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのスティーブン・ミランダ氏だ。たとえばホテル事業を展開するヒルトンは、グローバルで40万人がOracleのHCMのアプリケーションを活用している。また自動車メーカーのフェラーリは、OracleのCX(Customer Experience)のアプリケーションを使い、顧客と新たな関係性を構築している。OracleのSaaSを利用して成功する鍵は、技術面では機械学習の活用があり会話型のUIとなるデジタルアシスタントやChat botなどもいち早く取り込んでいること。そしてアプリケーションの機能面の強化も継続的に行われていることもある。OracleのSaaSの現状と今後の戦略について、ミランダ氏に話を訊いた。
Q: Oracle SaaSのインフラは、どのような構成になっているのでしょうか。
ミランダ氏: 顧客のデータは、マルチテナント型でシェアはしていません。1つのデータベースに顧客のデータが混在することはないのです。顧客は別々の物理データベースを持っています。Oracleのデータベースは、高いセキュリティ性を持っています。マルチテナントにしデータが混在するようにしてしまうと、高いセキュリティ性が損なわれます。それを避けるには、アプリケーション側のコードを書き換えなければなりません。そうならないように、顧客ごとに別々のデータベースを割り当てています。データベースは個別ですが、データセンターはもちろんネットワークも共有型です。
SaaSのデータベースはOracle Exadataで動いています。規模の小さい顧客用のデータベースは、1台のExadataで60個ほど動かしています。規模の大きな顧客は、1台のExadataを専有する場合もあります。データベース以外のミドルウェアは、汎用的なハードウェアをスケールアウト型アーキテクチャで構成し運用しています。インフラの一部は共有しますが、プロセッサは共有しません。