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「AI民主化」のための汎用プラットフォームを提供するDataRobotの戦略

 今やAIや機械学習技術をすぐに利用できるサービスを、クラウドベンダーなどから数多く提供されている。とはいえ、AIや機械学習技術を実際のビジネスプロセスに組み込み活用できている企業は、まだそれほど多くない。多くの取り組みが実証実験レベルで止まっているのが現実だ。そのような状況の中、AIや機械学習技術の利用を自動化し、容易にビジネスプロセスに適用できるようにする。それによりAIの民主化を実現しようとしているのがDataRobotだ。

今後拡大するAI、機械学習の市場でDataRobotこそが主役となる

DataRobotの日本法人のカントリー・マネージャー 原沢 滋氏

DataRobotの日本法人のカントリー・マネージャー 原沢 滋氏

 DataRobotは2012年に設立、2013年には開業資金として330万ドルを調達した。DataRobotはその後何ら製品をリリースせず、ステルスモードで活動。2015年にやっと、機械学習自動化プラットフォームをリリースする。製品提供前から十分な活動資金を調達しており、当初からDataRobotの技術に対する投資家からの高い期待があったことがうかがわれる。

 製品提供以降も、DataRobotは毎年のように資金を調達している。2018年にはシリーズDまで進み1億ドルの資金調達を達成、2019年9月にはシリーズEで2億500万ドルを調達し、資金総額は4億3100万ドルに達した。調達資金はAutomated Machine LearningやAutomated Time Series、MLOpsなどDataRobotの主要機能の改善に使われ、さらには今後の戦略的な買収にも使われる予定だ。

 DataRobotがこのような資金調達に成功しているのは、AI、機械学習関連市場の規模がかなり大きくなると予測されているからだ。とはいえ今後AI、機械学習の市場が期待通りに拡大するには、今よりも幅広いユーザーがAIを活用できなければならない。そのために企業規模や業界に関わらず、全ての組織がAIによるデータ活用を実現できるようする。そこに注力しているのがDataRobotであり、他のAIにデータベンチャーとの違いだ。「DataRobotは汎用的な機械学習のプラットフォームを提供しています。これを行っているところは、他にはないと思っています」と言うのはDataRobotの日本法人のカントリー・マネージャーである原沢 滋氏だ。

 これまで日本でDataRobotの機械学習プラットフォームを導入した顧客の95%が、利用契約を更新している。これは、DataRobotに対する顧客の満足度が高いことの証明だと原沢氏。現状、DataRobotはデータサイエンティストがいるような企業での利用が多い。これはデータサイエンティストが、DataRobotの価値を認めていることでもある。ほとんどのデータサイエンティストは、日々の業務がかなり忙しい。そのため、DataRobotに任せられることは任せてしまいたい。データサイエンティストが任せて満足できるようなプラットフォームに仕上がっているからこそ、データサイエンティストがDataRobotを選ぶと言うわけだ。

 とはいえ、日本にはデータサイエンティストが圧倒的に少ない。限られたデータサイエンティストだけに評価されても、AIや機械学習の市場は日本で広げられない。そのため「これからAIや機械学習に取り組もうとしている人たちに、ナレッジトランスファーをしていきます」と原沢氏。

 日本で活動してきた3年ほどで、150を越える企業にDataRobotのプラットフォームを導入し使ってもらっている。そのノウハウが同社には蓄積されており、それをこれからAIや機械学習に取り組む企業やパートナーに伝えていく。そのためにDataRobotでは、これまでの成功体験を顧客に提供する「AI サクセス プログラム」を2019年7月から開始した。

「ノウハウのトランスファーは、その全てをパートナーにやってもらいたいと思っています。とはいえまだパートナーの体制も十分ではないので、今はパートナーと併走して機械学習のためのプラットフォームを日本に普及させます」(原沢氏)

 AI、機械学習を実ビジネスで活用するためのノウハウを伝えるサービスは、コンサルティングサービスのようなものになる。しかしながらDataRobotは「AIのコンサルティング会社になるつもりはありません」と原沢氏。あくまでも、機械学習のプラットフォーム提供のビジネスを行う。プラットフォームを提供し、AI市場を広げるためにAI サクセス プログラムも実施する。「AIや機械学習の活用をもっと広げたい」と原沢氏、そのためにはあらゆる人がAIや機械学習を使いビジネスを行う世界を作る必要があり、DataRobotのような企業が市場を牽引しなければならないとも言う。

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データベースエンジニアこそデータサイエンティストを目指して欲しい

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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