RPA偏重の日本。課題の多くは戦略の不在に起因
EYが定義する「IA(Intelligent Automation)」とは「テクノロジーを活用しつつ、戦略立案にはじまり、プロセスや人組織をトランジションするまでのアプローチ全体」のことだ。
EYの西村文秀氏は、「デジタル化が進む中でIAをどう活用し、どのような価値を提供するか。そのためには、まずは会社が進んでいく方向性を決定しておくことが重要だ。プロセス変革は必然であり、シンプルなものからドラスティックなものまで幅広い。それをテクノロジー主導で進めるのは難しく、ビジネス側が参加して主体的に牽引する必要がある」と語る。たとえば、業務をアウトソーシングしている会社も、コグニティブ(認知)技術などを活用することでロボットを社員に見立ててインソーシングに切り替えるといったことが既に始まっているという。
「デジタル化によって事業環境がドラスティックに変化していること」、「テクノロジーが使いやすくなってデジタルの民主化が進んでいること」、そして「労働人口の減少と働き方改革」という3つのメガトレンドがIAの市場を大きく後押ししている。実際、ガートナーは2021年までにAI市場が2兆9000億ドルになると予測し、5年間で10倍もの成長率を示しており、フォレスターは2021年までに知的タスクを実行するロボットは400万体を超えると見込んでいる。
なおトップダウンで導入されることの多い欧米と比べると、日本ではボトムアップによる現場におけるRPAが中心だ。また、業務が属人化していることが多く、それを整理して標準化する手間がかかる。RPA単体での導入になる理由だ。一方、欧米ではRPAはBPMなど、ビジネスプロセス改善などと並行して導入されることも多い。
西村氏は「日本企業の性質上、RPAブームは今後も続くが、まだまだ課題は多い」と語る。しかし、はたしてRPAが本当に上手くいっているかといえば、どうやらそうではないらしい。「どのような業務が向いているのか」「外注するか内製か?」「統括する組織は?」など、最初の立案時のロードマップが不明確であったり、方法論にそって論点を整理していないことなどに起因し、挫折する企業も少なくない。RPA、さらにはIAを成功に導くには何が必要か?