RHEL、OpenShift、IBMとの協業で成長が加速化
はじめに望月社長は2019年3月から2020年3月までの業績を報告した。Red Hatの直近の四半期の勢いは継続し、売上は24%増で好調な受注残を示している。なかでもこの売上を牽引しているのはRHEL(レル:Red Hat Enterprise Linux)だ。エンタープライズのリナックスとしてミッションクリティカルであることが実証され、2桁成長を続けている。
そしてもうひとつの牽引役がアプリケーション開発/先進テクノロジー分野だ。OpenShiftとAnsibleによって約40%の増加となっている。
そしてIBMの買収による協業の成果も顕著に現れ、コンテナ分野が勢いづいている。IBMの営業力や業界別のソリューションの実績をバネに、大規模な契約数は前期から増加し前年同期比50%増という結果になり、過去最大規模の契約数を締結した。IBMとRed Hatのパートナリングによるコンテナプラットフォームが市場で注目されてきたことから、両社のコンテナソリューションを導入する企業は2,200を超えたという。
こうしたRed Hatのオープンハイブリッドクラウド戦略とは、「ハイブリッドクラウド基盤」「クラウドネイティブアプリケーション開発」「オートメーション管理」の3分野となり、これに加えて顧客の人材やカルチャーの変革までを提供するところまで拡大している。
「2020年度はこの方向で、国内のパートナーや営業力を拡大する」と、望月社長は語る。その自信の背景にあるのは、ブームともいえるコンテナへの市場の期待の高まりだ。現在では、62%の企業がハイブリッドクラウド、マルチクラウドを採用しており、80%の企業がコンテナの導入に積極的という結果がRed Hatのサーベイで公開されている。
Red Hatはコンテナを企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の主要テクノロジーとみなし、レガシーなアプリケーションや、オンプレミスのシステムにも。コンテナを適用することでモダナイゼーションを進めていく。
エッジからコア、プライベートクラウドまでに一貫性を持たせるとともに、SAP HANAやIBM Zなどの新しいワークロードへの対応、物理領域、仮想領域、プライベートまですべての環境でのインフラをモダナイゼーションで推進するという戦略である。
とりわけマネージドサービスについては、従来ユーザー企業が自身でおこなってきたクラウドやオンプレミスにまたがる運用を「Management as a Service」として展開していく。
「Red Hatがこの5年間で積み上げてきたコンテナの知見と、OpenShiftによって今年度は日本国内においてコンテナの導入企業の数を倍増させる。また企業数だけではなく一企業におけるコンテナのユーザー数を増やすことにも注力する」と望月社長は自信を見せた。
OpenShift拡大のための戦略パートナーを発表
Red HatのOpenShiftの新規採用企業は拡大しており、新規採用として公開できる企業として、KDDI、ソフトバンク、TOKAIホールディングス、NEC、コープ共済、ベネフィット・ワンの名前が挙げられた。
みずほ情報総研は、同社のプライベートクラウド基盤、「みずほクラウド(IA)」にRed HatのAnsible Automation Platformを採用。これまで複数人のエンジニアの手作業に依存していたプライベートクラウドのハードウェアリソースをセットアップする作業を自動化し、6週間程度を要していた作業期間を最短3日程度まで短縮し、78%の作業工数削減に成功した。
またコープ共済連は、同連合会のWebシステム「共済マイページ」に、OpenShiftを採用した。アプリケーション開発とサービス提供を迅速化させ、サービス需要に対応したリソースの増減によりコストを削減したという。