仕事に共通する「無駄」をなくす、ユニークな考え方
今回紹介するのは、『その仕事、ぜんぶやめてみよう』という一冊。プログラマーでもあり、セゾン情報システムズ常務取締役CTO 兼 アプレッソ代表取締役社長を務める小野 和俊氏が著者です。
スタートアップの立ち上げを成功させ、老舗大企業の常務取締役CTOに就くという経験に基づき、会社の規模を問わずに共通する“仕事の無駄“をなくす考え方”をさまざまな角度から紹介しています。
職場は「猛獣圏」と自覚する
どの企業においても、リーダーという存在はチームを引っ張っていくうえで欠かせない存在です。
しかしながら、チームを機能させ成果をあげることは簡単なことではなく、実際に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本書では、職場のチームについて、大きく2つに分けられるとしています。
1つは同質の人たち「だけ」で構成されるチーム。もう1つは、異質な人たちで構成されるチーム。特に前者は大企業、後者はベンチャー企業に多いとしています。
あらゆる企業が方針転換を迫られているなか、異質な人たちで構成されている文化を受け入れることで、変化に対応する力を高めていかなければならない。そこで、必要となってくるのが、職場は「猛獣圏」と自覚することだと著者は述べています。
多様性に満ち、突き抜けた人材のいるチームは、1つの檻の中にライオンとトラとゾウと裸の人間が暮らしている「猛獣圏」だといいます。
例えば、腕に自信のあるエンジニアが、自分のプログラムを否定されたとき、怒りのあまり周囲に大声で当たり散らす。一度は、そのような光景をみたことがあるのではないでしょうか。
しかし、これは空腹のライオンが周囲の人間に噛みつくのと同じ。決して、エンジニアが悪いのではなく、空腹になると生き物に噛みつくのも自然界では当たり前のこと。このように、エンジニアに限らず、突出した能力を持つ人には癖があることを知るべきだと著者は述べているのです。
では、リーダーはどう対処すればいいのか。著者は「意見を傾聴して意思決定すること」が大切だといいます。
方法は簡単で、「今日は議論するのではなく、みんなの意見を聞きたい。それをすべて聞いたうえで、チームとしての方針を決めたい」と宣言する。そして、全員の意見を聞いたあと、チームとしての結論をリーダーが決めるのです。
このようなシンプルな方法により、猛獣圏のようなチームでも協力し、チームとして仕事ができるようになると著者は述べています。
本書では、このようなユニークな考え方のほかにも、
- 「谷」を埋めるな、「山」を作れ!
- 「ハンマーと釘」の世界の落とし穴
- 「ラストマン戦略」で頭角をあらわせ
- 「To Stopリスト」をいますぐ作る
という、明日からでも使いたくなるようなアイデアで構成されており、多様な経歴を持つ著者だからこそ書けるユニークな考え方が詰まった一冊となっています。
コロナ禍以降、働き方も多様化していき企業も次々と方針転換をするなかで、新たな仕事の進め方や考え方が必要となってきています。
ぜひ、本書を手にして「1%の本質をつかむシンプルな考え方」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
その仕事、全部やめてみよう 1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」
著者:小野 和俊
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2019年07月31日
価格:1,650円(税込)
本書について
さまざまなプロジェクトを抱えて忙しくしている人には、大企業やスタートアップなどの規模を問わずに共通する”仕事の無駄”が存在します。本書は、「その仕事、ぜんぶやめてみよう」を合言葉に、生産性を上げていくノウハウを解説している書籍です。