EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

連載第6回 エンプラITの広報・PRの悩み:メディアに記事を載せてもらうには?

  2020/12/01 12:00

 IT関連のメディア記者を経験し、エンタープライズIT系のベンダーを経て、PR会社ビーコミ社長としてB2B系の企業広報を手掛ける加藤恭子のコラム第6回。今回は広報/PRの担当者のために、メディアに掲載されるための考え方を紹介します。

 前回はエンタープライズITのマーケティングについて説明しましたが今回は広報/PRについて書きたいと思います。早速ですが、こんなことを感じていませんか?

エンタープライズIT業界あるある

「ああー、うちの会社もあんな風に記事になったら、もっと営業しやすくなるのになー。サービスの存在が見込み客に届いてないんだよねー」

「どうもコンセプトがわかってもらえてないから、高いとか言われちゃう。XX社の製品とは全然違うんだけどなー」

「うちの会社も同じようなことやってるのに、特定の会社ばかり記事になってる気がする。悔しい!なんでうちの会社、取材してもらえないの?サイトに情報もアップしてるんだけど……」

 今回は、そんなことを感じている人に読んでもらいたいなと思っています。これを解決するのが今回のテーマである広報・PRなんです。

PRってなんのこと?

 PRって何ですか?と質問すると、皆さんから様々な回答が返ってきます。

A「プレスリリースの略ですよね!記者へのラブレターってよく言われるじゃないですか!」

B「プロモーションの略ですよね!うちの会社も、もっとPRして世の中にアピールしていかないと!」

C「パブリックリレーションズの略ですよね!日本だとほぼ広報と同義で扱われていると思います!」

 実はCが正解なのですが、いろいろな考え方があります。

 アメリカPR協会(PRSA:Public Relations Society of America)では、「PRは、組織とその公衆の間で相互に有益な関係を構築する戦略的なコミュニケーションプロセスであり、組織への世間の認識を形作り、構築するために、無数のプラットフォームにわたって主要な利害関係者との関係に影響を与え、関与し、構築することである」(翻訳は筆者&某翻訳ソフト)と定義されています。

 広報やPRの意味は広く、炎上対策なども入りますし、企業が自ら行う情報発信なども含まれます。インナーコミュニケーションも広報の範疇です。ですが今回はその中でも「メディア」リレーションと呼ばれる分野にフォーカスして書きたいと思います。というのも多分読者の多くの方が「メディアにうちの会社の記事が出ればなあ……」と思っていると想定されるからです。

 エンタープライズIT業界の商材は、残念ながら絵になりにくく、テレビに出たとしても、本業ではなくて、面白い会社の制度だったり、変わった社員の紹介だったりして、なかなか製品やサービスが着目されにくいです。マス媒体に訴えづらいのです。そして、見込み客となる人たち、一緒にビジネスで組めそうな企業、販売代理店になってくれたり、導入支援をしてくれる企業はどこにいるかを考えると、彼らはビジネス誌や専門誌、テクノロジー業界メディアの読者だったりします。

 そのため、まずは業界紙、専門誌(オンラインメディア含む)に記事を掲載してもらうことを考えていくべきです。まずは業界での認知をとっていくことが重要です(注:BtoCの場合やGAFAのような著名企業はまた少し違いますが今回は割愛します)。

どうしたらメディアに記事を載せてもらえるのか

 「では、どうしたら記事を書いてもらえるんでしょうか」そんな質問をよく受けますが、それはズバリ、情報を届けることです。自社サイトだけに情報をあげ続けても、それを記者に見つけてもらえる可能性が低いので、自分から届けに行くわけです。その1つがプレスリリースですね。記者の連絡先(公開されていることもありますので、検索してみてください)に直接送ったり、PR Timesのようなプレスリリース配信サービスを活用したり、自社で記者リストを作っていればその宛先に送ったり、またはPR会社経由で届けたりと様々な方法があります。このEnterpriseZineでもプレスリリースを専用のメールアドレスで受け付けています。もし送ったことがないという広報担当の方がいましたら、プレスリリース配信時には送るようにしてみてください。あなたの会社の記事がEnterpriseZineに掲載されるかもしれません。

 ただ、このプレスリリース、記者は毎日大量に受け取っているため(数百通前後)、単に送っても何も起きないこともよくあります。よって企業の広報担当やPR会社の担当者は、プレスリリースの最低限のお作法は守りつつ、ユニークなネタを作ったり、見出しを工夫したり、すぐに記事に使えるキャッチーな図を入れたりして、少しでも記者の目に止まるように、そして記事が書きやすいように、日々工夫して送っているのです。一時期よく見かけた、コロナ禍のテレワークに関する調査のプレスリリースは、そんな努力の賜物だったりするわけですね(「調査リリース」と呼ばれます)。

どうして特定の会社ばかり……の答えは

 もちろん、プレスリリースを送るだけではありません。それ以外にも記者にアポを取ってネタを説明(最近はオンラインが多いですね)することで、そこから記事に繋がることも多いです。記者向けの説明会(密にならないように)やオンライン取材も有効です。知識のある社員が寄稿するという方法もあります。つまり、それらの活動を適切にできているかどうかが「記事になりやすい会社」と「なりにくい会社」の差にもなっているのです。もちろん時流に乗った製品、元から社名が有名でブランド力のある企業の方が取り上げられやすいことは言うまでもありませんが、小さな会社でニッチな商材であっても、これらに取り組んでいる企業はメディア露出の機会がそれなりにあるわけです。(余談ですが、ある程度有名になると今度は大量に取材依頼が来ますので今度はそれを適切に捌くことが担当者の仕事になります。超大手の場合は、メディアに取材を持ちかける部署と来た取材依頼を調整する部署が分かれていることもあります)

 弊社のお客様でも、取材から2週間後、某経済紙に掲載され、その日に記事を読んだ役員クラスの人から電話があり、そこから案件が成約したベンチャー企業、オフコンのユーザー向け製品というニッチな分野ながらもかなり多くのメディア掲載を獲得したケースなどがあります。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。


※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。


関連リンク

著者プロフィール

  • 加藤 恭子(カトウ キョウコ)

    IT記者を経て、ナスダック上場IT企業のマーケティング・PRマネジャーを歴任。 現在は、その経験を活かし、マーケティング・広報のコンサルティングを行う株式会社ビーコミの代表として活動。日本PR協会認定PRプランナー

バックナンバー

連載:加藤恭子のエンタープライズIT業界の歩き方
All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5