サブスクリプションビジネスを支援するZuoraは、定期的にSubscription Economy Indexを調査している。同社は4月記者発表会を開催し、サブスクリプションエコノミーの最新動向について解説した。
サブスクリプションジャーニーのゴールとは?
Zuoraではサブスクリプションエコノミーを専門に調査するシンクタンク「Subscribed Institute」を運営している。同シンクタンクでは2000社以上のサブスクリプションモデルの導入企業と連携し、10万以上のデータポイントから得たデータを匿名化し、分析を実施している。組織としてのミッションは、分析から得たインサイトや、成功するためのベストプラクティスを提供することにある。従来型のビジネスからサブスクリプションモデルへの移行を進める企業に対し、個別にアドバイスを提供するため、2020年4月にはシンクタンク内にSubscribed Strategy Group(戦略グループ)も立ち上げた。このシンクタンクは今のところ米国だけで活動中だが、今後は日本でも同様の組織の立ち上げを計画しているという。

以前からZuoraでは一貫して「世界はオーナーシップからユーザーシップへ動いている」と主張してきた。ユーザーシップとは、価値を手にするために製品やサービスを所有せず、使うことができればいいという価値観である。スピーカーとして登壇したKonary氏は、Zuoraを導入している企業はいずれも「ローンチ(立ち上げ)」「最適化」「拡大:成長」「維持」という4つのステージから成るサブスクリプションジャーニーのどこかにいると話す(図1)。

サブスクリプションジャーニーのゴールはユーザーシップの確立にある。Konary氏は成功のために必要なビジネススキルとして以下の5つを紹介した。
- デザインのオファリング:持続的成長を実現するための価格設定やサービスをパッケージ化するスキル
- サブスクライバー体験:企業に対して抱く高い期待に応える体験を提供するスキル
- フィナンシャルモデル:定期収益やLTVをKPIとする新しいビジネスモデルを構築するスキル
- ビジネスオペレーション:サブスクリプションビジネスに適した俊敏性と効率性の高いオペレーションを確立するスキル
- エンタープライズアーキテクチャー:ビジネス成長に合わせて進化するテクノロジープラットフォームを整備し、維持するスキル
Konary氏はシンクタンクの創設者でもある。企業のサブスクリプション戦略に関わる20年以上実績を持つ同氏は、戦略立案をサポートする立場から、この他にビジネスの専門知識やそれに基づく関係部門へのアドバイススキルも必要と語った。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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