第1回~第3回までは、比較的現場に近い目線で独善の手法をお伝えしてきました。今回はさらに視点を高め、会社に対する独善の手法をご紹介します。
はじめに
「自分の会社をもっと良くしたい」「全社的に仕事のやり方を改善したい」と思っても、自分の携わっているプロジェクトが精一杯で、他所への展開までは難しいのではないでしょうか。また、会社を変えたいと思っても、様々な障害や問題が立ちふさがり、簡単に変えることは難しい場合が多いのではないでしょうか。
そんな難題に対してどのように「独善」したのか、私の実体験を書きたいと思います。
組織を変えるには、どうすればよいか
「組織を変える方法」はたくさんあると思いますが、私が思いつく方法は、上層部が担当者に指示して変化させる「トップダウン・アプローチ」と、担当者が自発的に変化する「ボトムアップ・アプローチ」の2通りです。どちらにも一長一短があり、一概にどちらが良いか判断が難しいと思います。実際に体験できれば判断しやすくなるのですが、それはなかなか困難だと思います。
しかし、幸運(?)にも私は両方を体験する機会に恵まれました。そこで、先ずは私の体験談をご紹介し、どちらが良いのか考えてみたいと思います。
トップダウン・アプローチ ~現場重視の重圧~
ある時、主要メンバーが管理職で構成されている「品質向上委員会」に約1年間参画する機会に恵まれました。
主要メンバーである管理職の方々は、常に現場担当の作業負担/作業リスクを軽減するべく、簡単かつ効果的な改善方法を模索されておられました。その場では、革新的なアイディア/手法は、「リスクが高い」「スタディ期間が取れない」という理由から受け入れてもらえず、なるべく従来型の手法に重点を置き、改善策の検討が実施され続けました。
管理職の方々は、超多忙な中、なんとか時間をやりくりして会議の時間を作り出し、現場改善のための簡単かつ効果的な方法を本気で模索されておられました。しかし、1年間かかって出されたアウトプットは、現場担当の作業負荷/作業リスクを配慮するあまり、間接的な効果を与えるもののみとなってしまいました。管理職という単価の高いメンバーの成果としては、あまりにも対費用効果が低いという印象を受けました。

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にし たけよし(ニシ タケヨシ)
某社で組込み系ソフトウェア開発に従事。
ソフトウェア開発手法に興味を持ち、様々な手法にチャレンジしている。社内/社外を問わず、様々なセミナーやワークショップにも出没。最良のソフトウェア開発手法を追い求め、日夜修行中。知る人ぞ知る、自称『歌って踊れるプログラマ』。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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